Dentalism39号
38/40

 歯科においても新型コロナとの戦いが続いています。伊那谷、長野県南箕輪村にあるくらた歯科医院、倉田友宏院長(44)もそのひとり。地域密着型、専門医による診療と「管理予防型歯科医療」が特長で、1日平均120人の患者さんを迎えています。 歯科医師4人に常勤歯科衛生士8人、当初からスタンダードプリコーション(標準的予防措置)に取り組んでおり、玄関で手指のアルコール消毒、感染をスクリーニングする問診票、受付前の飛沫感染予防ビニールシートが目に入ります。次亜塩素酸水(噴霧)による空間除菌や処置前の洗口液によるうがいも。全7台のユニットで口腔外バキュームが稼働しています。環境面ではとくに換気に注意し全ての窓、扉を開けて扇風機を回しています。 エアロゾルを発生させる処置は極力控え、行う際にはマスク、フェイスシールド、アクリル板を設置した口腔外バキュームを使用する徹底ぶり。消毒専任スタッフが診療ごとに常に手が触れる部位を消毒しています。 さらに、患者数を半分程度に抑え、待合室の密集を避けるため、呼出機を渡して駐車場で車内待機していただくなどの工夫をしています。 スタッフの感染対策でも、二重マスク、フェイスガードに加え口腔外バキュームも飛沫防止にするとともに、常に体温を確認し、朝昼診療後の次亜塩素酸水によるうがい、20分ごとの水分摂取、出勤日をローテーションする等の対応をしています。 「地域医療に欠かせない歯科ですので、十分すぎるほど感染拡大防止に努めながら、必要な治療は行ないます。休診にするとそれこそ医療崩壊を起こしかねませんから。とくに当院では即時荷重インプラントを希望される患者さんが多く、極力治療期間や回数を減らして治療できるので、アポイントを調整して短期間に噛める環境に導いていきます。」と倉田院長。口腔ケアの重要性も訴えて地域に貢献したいと語ります。 「歯科界は新型コロナに全力で取り組むなかで、将来を見据えて歯科医療のスタンダードをめざして改革してゆく機会にすることが必要だと思います」。コロナ乗り越え歯科の未来築こう文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp■編集後記菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第38号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介します。「スペシャルインタビュー」での植田耕一郎先生の記事を拝見いたしました。まだ摂食・嚥下リハビリテーションという言葉自体があまり知られていない時代から取り組んでこられた植田先生のご苦労は大変なものだったと思います。介護現場での数々のエピソードには驚きました」 愛知県 N歯科医院様摂食・嚥下リハビリテーションの第一人者である植田先生。様々なご経験をされてきた植田先生の言葉には重みがありました。医科歯科含めこれからの医療において、摂食嚥下治療は喫緊の課題です。デンタリズムでは今後も様々な先生にお話をお伺いしたいと思っています。「フィリピンでの歯科医療ボランティアに参加されている羽尾先生のインタビューが興味深かったです。日々の診療に追われていると、どうしても目先のことばかり考えてしまって、開業前に思い描いていた夢や目標を見失いがちになります。初心を思い起こすきっかけになりました。ありがとうございます」 大阪府 T歯科医院様ハローアルソンの新潟支部長を務められている羽尾先生。ボランティアへの参加が人生のターニングポイントになったとのことです。「世界には歯ブラシ1本で救える命がある」。私たちも考えさせられる言葉だと思います。No.39 MAY 2020 Dentalism 39 MAY 2020 36「歯髄再生治療の記事が気になりました。ずっと先の話だと思っていたのですが、もはや実用化は目の前だったのですね。歯科治療が劇的に変わるかもしれない中で、私たち歯科医師も柔軟に対応していかなければいけないと考えています」 茨城県 S歯科医院様高齢化社会において、より長く自分の歯で食べることは非常に重要になってきます。それだけに、歯髄再生治療にかかる期待は大きく、待ち望んでいる人も多いのではないでしょうか。「過去の『デンタリズム』を見るにはどうすればよろしいでしょうか?」 埼玉県 H歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。その他にも多くの皆様よりメールやお電話などでお問い合わせやご要望をいただきました。なお、『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力の相談につきましても随時受け付けております。ホームページの問い合わせフォームよりご連絡下さい。フェイスシールド姿の倉田院長。アクリル板を設置した口腔外バキューム。呼び出し機。駐車場の車中でお待ちいただくときに活用。

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る