Dentalism39号
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Dentalism 39 MAY 2020 28首の傾斜角度が20°以内の姿勢を保つことが理想。マイクロスコープの基礎知識根管治療の救世主と言えるマイクロスコープ(手術用顕微鏡)のメリットや、選ぶ上でのポイントを紹介。 日本では抜髄後の再感染による再根管治療が占める割合が多く最終的に抜歯に至るケースも珍しくない。それに対して欧米では、根管治療の成功率が90%以上と高い。その理由は、根管治療専門医の存在と専門医にはマイクロスコープ(以下、マイクロ)の導入義務があるためだ。ラバーダムの併用も必須だが、欧米ではマイクロの必要性、有効性が認められている。マイクロはまさに根管治療の救世主的存在。一方日本では、手術用顕微鏡加算に関する施設基準の届出を行っている歯科医院は、3388件(2018年7月時点)だったが、2019年にはマイクロの年間販売台数がパノラマの販売台数を超え普及が進みつつある。複数台所有する医院も増えており、衛生士がメンテナンス時に活用しているケースも多い。今年度の手術用顕微鏡加算の対象拡大が追い風となり、マイクロ普及の加速が期待される。 人間の目の解像度は0・2㎜が限界で、目を被写体に近づけ拡大させる仕組みだ。裸眼、ルーペ、マイクロの拡大率と分解能を左の図に示す。エキスプローラーが入るギャップの大きさは、0・036㎜で根管の最狭窄部が0・01㎜。細部まで見えれば、治療精度向上や健康な歯質の低侵襲化、審美的にも患者満足度アップに貢献する。  歯科従事者の職業病である腰痛、頸部痛は、悪い診療姿勢が改定前4根管以上根管内異物除去(加算なし)改定後(令和2年度診療報酬改定)3根管以上の症例において、歯科用3次元エックス線断層撮影装置※及び手術用顕微鏡を用いて根管治療を行った場合に手術用顕微鏡加算として400点を所定点数に加算。歯科用3次元エックス線断層撮影装置※及び手術用顕微鏡を用いて根管内異物除去を行った場合に400点を所定点数に加算。※歯科用3次元エックス線断層撮影の費用は別途加算できます。※詳細は、厚生労働省ページ内「令和2年度診療報酬改定」をご覧ください。令和2年度診療報酬改定で広がる手術用顕微鏡加算原因だ。頭部の重さは、ボーリングの12ポンド(5・4㎏)ほどあり、前傾姿勢がいかに首、腰に負荷をかけているか想像は容易である。マイクロを診療に取り込むことで正しい診療姿勢を形成し、治療精度向上はもちろん生涯にわたり健康的な歯科キャリアの継続が可能になるだろう。拡大診療による飛躍的な治療精度の向上診療姿勢拡大方法裸眼低倍率ルーペ中倍率ルーペエキスプローラー低倍率マイクロ中倍率マイクロ高倍率マイクロ拡大率02倍4倍ー6倍10倍20倍分解能(mm)0.20.10.050.0360.0360.020.01

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