Dentalism39号
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Dentalism 39 MAY 2020 24 CAD/CAMシステムによる補綴物製作やインプラント、矯正治療の第一ステップとなる印象採得は、印象材で歯型を採り、石膏を流し込んで模型を作る手法が一般的だが、最近では「口腔内(オーラル)スキャナー」による光学印象が普及しつつある。小型カメラで口腔内を撮影し、歯列画像を3Dデータ化する仕組みで、従来の手作業に比べて人的ミスが少なく、材料費や模型の輸送費といったコストが削減できるなどメリットが多い。 口腔内スキャナーは院内で導入しやすいデジタル診療の一つであり、2015年ごろから多くのメーカーが取り扱いを始めた。年々、各機種の性能は向上しているが、国内での普及率はCTやデジタルパノラマと比べるとまだまだ低い。他院との差別化を図るには今が導入の好機だろう。 そこで、今号ではケアストリームデンタル社の「CS3600スキャナー」を用いて詳しい使い方と導入のメリットを紹介する。 スキャンする順番や経路は機種によって異なる。CS3600の場合は、大臼歯を始点に①咬合面②舌側③頬側の順にスキャナーを移動させるのがおすすめ。片方の顎がスキャンし終えたら切り替えボタンを押し、もう一方の顎も同じ順に移動させる。最後に咬み合わせた状態でバイトを採得する。スキャンする際は歯列に対して先端を平行に、また機種ごとに定められた焦点距離を保つのがポイント。 舌や唇などは指やデンタルミラーで押さえ、映り込まないようにする。CS3600の場合、唾液が多少出てもスムーズにスキャンできるが、大量に出る場合は一度中断し、バキュームで吸い取る。スキャン不足を防止するガイド機能を搭載。読み込みが不十分な部分は緑色で表示され、矢印が示す方向に沿って撮影するだけで解消。付属のアダプタで本体とパソコンをつなぎ、本体のON/OFFボタンを押す。パソコンでは専用のソフトウェアを起動させ、撮影モードから「インプラント」、「歯列矯正」、「修復」のいずれかを選択する。ペン持ちやグリップ持ちなどが一般的。女性や手が小さめの人はグリップ持ちの方が扱いやすい。ケアストリームデンタル株式会社2007年にOnex Corporationがイーストマン・コダック社を買収、改名した『ケアストリームヘルス社』より分離独立したシングルカンパニー。歯科分野において幅広く製造・販売を手掛け、従業員2,000人超を擁す世界的医療機器メーカー。【使用機器】CS3600スキャナ●フルHD(ハイビジョン)画像●滅菌可能なスキャンチップ●パウダーレススキャン▽ガイド機能で精密なスキャンをエスコート②口腔内をスキャン①電源を入れ、撮影の準備を整える厚さ16㎜の薄型チップヒーター搭載で呼気によるレンズの曇りを防止上顎/下顎切り替えボタンON/OFFボタン避けてはとおれないデジタル診療の基本ガイド知っておきたい口腔内スキャナーの基礎知識院内でも取り入れやすいデジタル診療の一つ、「口腔内スキャナー」による光学印象の方法やメリットを紹介。

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