Dentalism39号
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――まず、嚥下障害に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 松宮 開業前は訪問歯科診療の大手で勤務医をしておりまして、在宅においての嚥下治療の必要性を肌で感じていました。実は嚥下障害の方というのは、ほとんどの場合、要介護認定されていて、嚥下障害の他に栄養障害も起きている率がとても高いのです。しかも、通院されていた方が外来に来れなくなってしまったというケースならまだしも、骨折などが原因でいきなり外に出られない状態になってしまうような方が非常に多い。ですから、本当に嚥下障害で困っている方は在宅にいらっしゃるのだろうなと。しかし現在の医療のベクトルはあまり在宅に向いていません。そんな状況を変えていきたいと、勉強会や講習会で嚥下リハビリを学びながら、その知識を臨床に落とし込んでいき、ようやく3年前に開業したというわけです。――松宮先生としては、嚥下治療やリハビリテーションがうまく進んでいかない課題をどう考えられていたのですか? 松宮 嚥下障害というのは、あまりにも原因が多岐にわたっており、多職種が関わってくる分野です。耳鼻科だったり神経内科だったり歯科だったり。それでどの科も手を付けられていなかったという現状があったように思います。――全国的にも珍しい嚥下リハビリテーションに重きを置いた歯科ク Dentalism 39 MAY 2020 12取材・文/長田英一 撮影/高橋将志全国でも珍しい、在宅嚥下治療に注力する歯科医院を開業。その成功の理由とは!?嚥下障害の診断や治療、リハビリテーションに注力している『もぐもぐクリニック』。地域の医療機関やケアマネージャーとの多職種連携を図りながら、摂食嚥下をトータルでサポートしている。全国的にも珍しい歯科医院を成功させた松宮春彦院長に経緯や診療内容を伺った。Special Interviewスペシャルインタビューもぐもぐクリニック 院長松宮 春彦Haruhiko MatsumiyaProle 松宮春彦(まつみや・はるひこ)1996年、東京歯科大学卒業。2000年、東京歯科大学大学院歯学研究科卒業。全国展開する訪問歯科診療企業にて在宅歯科診療に従事し、嚥下機能治療の必要性を実感する。2018年、東京都府中市にて、外来、在宅で嚥下機能の改善や維持に取り組む『もぐもぐクリニック』を開業。世田谷区に分院の開業も予定している。

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