Dentalism39号
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Dentalism 39 MAY 2020 8ではなく、チーム内の色んなクリニックで勤務するように、敢えてシャッフルしたシフトを組んでいます。ですから、いつもと違うクリニックに行ってもスムーズに勤務できるように、全てのクリニックで院内レイアウトや引き出しの中身を同じものにしたり、歯科用CT、マイクロスコープ、CAD/CAMなどの機材も全て統一しています。――そこまで徹底されているとは驚きです。荒井 ミーティングや勉強会の回数にしても、他のクリニックさんに比べてかなり多いと思います。――どれぐらいの頻度で開催されているのですか?荒井 全スタッフが集まるのは月に1回ですが、セクション毎のものを含めると、週に1回は集まっているのではないでしょうか。――スタッフさん同士も刺激にになりますね。荒井 そうですね。長い間同じ環境にいますと、どうしても仕事がマンネリになりますし、人間関係においても好き嫌いが出てきますから。――そういう意味でも、グループ内に統一したマニュアルがあるというのは重要ですね。マニュアル作成のほかにも、独自の人事評価システムを導入されているとのことですが。荒井 歯科医院はコミュニティが小さいのでどうしても年功序列になってしまいがちです。ですから、スタッフのモチベーションアップのため、「スターシステム」という人事評価システムを作りました。簡単に言うと、様々な業務をすることによってポイントがたまり、そのポイント数と内申点によってランクが上がっていくというシステムです。また、業務と言っても診療業務だけでなく、忘年会の幹事をして盛り上げたり、院内の掃除を毎日頑張っているスタッフもいますので、そういった面も含めて公平に評価できるシステムになっています。――他業種では注目されてきている人事評価システムですが、歯科界で実践しているとは驚きです。荒井 患者さんをハッピーにするためには、まず、勤務医をはじめ、歯科衛生士、歯科助手、受付の全スタッフがハッピーでなければなりませんから。――当然のようなことですが、それが一番難しいことのような気もします。荒井 そのためには、院長の存在が重要です。院長がとにかく気持ちよく働くことが出来ていれば、そのクリニックの雰囲気は必ず良くなります。それに引っ張られて歯科衛生士も歯科助手も頑張るんです。いくら歯科助手が一生懸命に働いていても、院長が不機嫌だったり雑な仕事をしていると全部崩れてしまいますので。もっと言えば、院長がしっかりするためには、まず私がちゃんとしろという話になります。だから理事長が遊んでいるわけにはいかないんです(笑)――グループ内のどのクリニックも自費診療率が50%以上というのも驚きです。荒井 全く自費診療に誘導しているわけではないのですが、結果としてそうなったという感じです。ただ、本当にその価値が伝われば、自費診療を選ばれる患者さんは自ずと多くなると思います。価値が伝わっていないから、「とりあえず保険で」と、「とりあえず」が付いてしまうんです。――「伝える」ではなく、「伝わる」ことが大切だと。荒井 そうです。短時間でいかに患者さんにわかりやすく納得していただけるインフォームドコンセントをしようと真剣に考えた結果、コミュニケーション能力が向上したのだと思います。――エムズ歯科クリニックのこれからの展望をお聞かせ下さい。荒井 やはり、高齢化社会においての摂食嚥下リハビリや訪問診療が重要と考えています。実は私自身でもケアマネージャーの資格も取得しましたし、学会でプレゼンをしたり論文も書いているのです。――ケアマネージャーの資格まで取得されるとは本格的ですね。現在、訪問診療はやられているのですか?荒井 東京は東中野、神奈川は磯子を拠点にそれぞれ半径16㎞の診療圏の中で、老人ホームなどから依頼を受けて訪問車を出しています。取り組んでみると課題も多いですが、これからもっと強化していきたいと思っています。――話は変わりますが、主宰を務められておりますスタディグループ

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