Dentalism38号
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33Dentalism 38 MARCH 2020医療法人社団 純弘会 理事長(かむい歯科診療所/浜頓別歯科医院運営)農業生産法人 株式会社愛恵育場 代表取締役カズハチコーヒー株式会社 代表取締役  八重樫和秀(やえがし・かずひで)1958年北海道留萌市出身。1986年東日本学園大学(現北海道医療大学)歯学部卒業、口腔病理学講座入局。1989年旭川市神居に『かむい歯科診療所』を開設。1994年診療所を開設。2013年『かむいスマイル歯科』開設。2019年6月よりサポートしていた『浜頓別歯科医院』を11月に買い取り運営開始。2008年酪農学園大学に通い酪農についての基礎知識を学ぶ。大学の勧めもあり、2009年豚の放牧場を開拓し、豚の飼育を開始。5頭の放牧からはじめ、2011年には50頭の飼育に拡大。2013年『農業生産法人 株式会社愛恵育場』を設立。2014年神居町共栄に移転。2016年 焼尻島から羊(サフォーク種)の導入開始。2018年母羊83頭、2019年子羊75頭出産。2018年 旭川医科大学内正面駐車場『緑が丘テラス』に、アイン薬局・ナカジマ薬局と併設して出店したコーヒー店『MORIHIKO』の運営者となる。外にもやぎや羊、ポニー、にわとりなどがいて、小さな動物園のようでした。放課後に子供たちを預かっていた時期もあります。伝多朗 「寒豚(しばれぶた)」というブランドで、とても美味しい豚肉を出荷されていましたが、今は羊がメインのようですね。八重樫 ジンギスカンの店をやっていた友人から、牧場をやりたいので羊がほしいと相談されまして…。でもそこからが大変でした。誰も売ってくれなくて。そんな中、2016年に焼尻島のサフォーク種の羊を5頭買うことができたのは本当に幸いでした。かの三國清三シェフに「世界一」とまで言わしめた羊です。伝多朗 『銀座ひつじ座』とは、どのようなご縁で?八重樫 八王子の歯科医師の同級生が、僕が東京に来るたびに羊の店に連れていってくれ、その中にこちらの店との出会いがありました。サンプルを送ったところ気に入っていただけて。「いつかは銀座にうちの肉を」と思っていたので、それは嬉しかったです。伝多朗 羊肉に精通しているスタッフの皆さんも惚れ込むだけあり、この柔らかさと美味しさは羊肉の概念を覆しますね。八重樫 牧場長が言うには、羊肉は血統と環境、餌の三つが重要で、それによって肉質が大きく違ってくる。冬から春にかけて出産ラッシュなのですが、お母さん羊に栄養いっぱいの一番草を食べさせることによって仔羊の成長もよくなる。人間と同じです。伝多朗 羊の飼育を、歯科や医療全体にも役立てていきたいとお考えですね。八重樫 IPS細胞による歯科の再生医療に繋げていきたいと考えています。まだ形の制御はできませんが歯は作れるようになっているし歯根膜もできるようになってきた。そうした研究を一緒にしようという声もあります。「愛恵育場」で歯科実習用の豚上下顎骨を販売しているのも、歯科医師や歯科衛生士のスキルアップのために役立てていただければと…。牧場を一から開墾したように、自分自身の世界も広げ続ける八重樫先生。その生き方は「夢は無限である」「夢をあきらめない」そして「挑戦は何歳からでも遅くない」とたくさんのことを教えてくれているのです。コースでは、羊のタン、ウデ、モモ、バラ、スネ、ロース、肩ロースなど数種類の部位ほか、ベーコンやソーセージ、スープやガーリックライスでも羊が堪能できる。

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