Dentalism38号
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31Dentalism 38 MARCH 2020避けてはとおれないデジタル診療の基本ガイド CT画像に写る雑物として、金属補綴物やインプラントによる「金属アーチファクト」、体の揺れや心拍などによる「モーションアーチファクト」、画像に丸い影が写り込む「リングアーチファクト」などがある。それぞれで原因は異なるため、各メーカーが独自の画像再構成技術を駆使しアーチファクトを減らしている。Greenシリーズに関しては、独自開発の低減フィルターを搭載している。 撮影範囲は機種によって異なるため、目的や関心領域に従って選ぶ必要がある。原則、FOVの大きさに比例して被ばく線量が増え、解像度は低くなる。FOVが小さいほど解像度が高く歯内療法に最適で、大きなFOVサイズは埋伏智歯、顎関節、気道の分析に適している。Greenシリーズの場合は、次の図で示したFOVサイズ5㎝〜最大18㎝までカバーできる。 平面画像を構成する一つ一つの正方形(画素)を「ピクセル」、3Dなど立体表現の場合は「ボクセル」と呼ぶ。CTでは一般的にボクセルが小さいほどより解像度が高い。ただ、画像の濃淡を処理する「濃度分解能」、画像ノイズ、アーチファクトなどにより実際の解像度は落ちる。Greenシリーズでは、0・08㎜の最小レベルのボクセルサイズと独自の画像処理技術で、歯内療法領域でも有効。-1000空気脂肪組織水軟組織骨、歯など石灰化組織-800-600-400-20002004006008001000 ピクセルやボクセルが表現する白黒の濃淡値(画像濃度値)を「CT値」と呼び、骨密度(単位HU)を確認できる。CT値では主に水を0、空気をマイナス1000HU、エナメル質を約2000HUで表し、画像上では空気部分は黒色に、エナメルなど硬質は白色に写し出される。ただ散乱線やアーチファクトの影響でCBCTで得られるCT値は絶対値ではなく、近似値となる。 18㎝10㎝8㎝5㎝ 16㎝ 撮影時間は各機種が採用している検出器速度、撮影方式で異なるが、一般的にフルスキャン(360°回転)が18秒前後、ハーフスキャン(180°回転)でフルスキャンの約半分となる。ハーフスキャンは短時間のため被ばく線量は少ないが、フルスキャンに比べてデータ量が半分になるため画像は粗い。一方、FOVハーフスキャン(180°)スキャン方式管球フルスキャン(360°)検出器撮影時間が長いとモーションアーチファクトの影響も受けやすい。Greenシリーズは市場最速の4.9秒でフルスキャンができ、体動などによる乱れを最小限に抑えた。 被ばく線量は撮影範囲のほか、管電流、撮影時間、患者の年齢で決まる。一般的には、「低線量での撮影は画質が劣る」とされているが、Greenシリーズでは従来商品と比べて最大70%の線量をカットしながらも高画質、低アーチファクトを実現する大型の医科用CTで使われる画像再構成法を歯科用で初めて用いている。また小児は成人に比べて放射線リスクが高いことから、撮影時は必要な領域に限定し、可能な限り被ばく線量が少なくなるような配慮が必要となる。撮影時間=スキャンタイム(図4)アーチファクト撮影範囲=FOV(図1)CT値(図3)被ばく線量解像度(図2)ボクセルサイズが大きいボクセルサイズが小さい(より高解像度)ピクセル(平面)ボクセル(立方体)(図4)(図3)(図2)(図1)

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