Dentalism38号
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Dentalism 38 MARCH 202030パノラマ併用歯科用CTの基礎知識CTの普及率は年々高まっており、導入を検討している方も多いはず。事前に知っておきたい機能と特性を紹介する。 インプラントや親知らずの抜歯に伴う検査に必要不可欠な「CT」。医科用CTはX線を扇状に放出し、体を数回転させながら輪切りにするように撮影するのに対し、歯科治療で一般的なコーンビームX線(CBCT)はX線をコーン状に放ち、一回転で診療に必要な領域を撮影できる。そのため医科用よりはるかに小型で低被ばく、安価というメリットがある。 2000年代前半に登場した初期の歯科用CBCTは大型で高額のため、限られた施設で主に研究やインプラント治療の計画に用いられた。その後、2000年代後半にパノラマと3D撮影の両方の機能を備えた「パノラマ併用CBCT」が登場、従来と比べて省スペースで割安な価格から一般医院にも浸透。10年には一部保険適用となり、普及率は全国平均30%超、開業する歯科医院は7割以上が導入する時代となっている。 最近では、CTではないが、デジタルパノラマの価格で歯列に沿って41枚の断層を撮影し、歯根数や埋伏歯が確認できる新機種「Insightパノラマ」が登場。新次元「2・5D」のパノラマ画像が見られることで注目を集めている。CTの普及率には地域差があるのも実状で、これから導入を検討する医院はどの機種が適しているのか、すでに導入している医院は幅広い利用法をそれぞれ学び、歯科診療のデジタル化の波に乗ることをおすすめしたい。今回はvatech(バテック)社製のCBCT「Greenシリーズ」を用いて、パノラマ併用歯科用CTの主な機能や特性について説明する。 パノラマ併用歯科用CTの機能「MPR(Multi-Planar Reconstruction)像」(CTで撮影した断面)※Ez3Diソフト使用「VR(ボリュームレンダリング)」(CTで撮影した3D画像)カーブドMPR断面CT撮影された画像は、咬合面に平行なアキシャル断面(横断面)、頬側に平行なサジタル断面(矢状断面)、顔正面に平行なコロナル断面(冠状断面)の3方向の表示と診断が可能。立体画像(3D)により骨の状態、歯根数や形状が把握できる。Greenシリーズは、3D画像上で見たい部分をクリックするとその部位のMPR(3方向の断面)が瞬時に表示される。顎骨や歯列に沿って全景を写した断面画像(MPR像)。見慣れた3Dパノラマ上で歯列の横断面を精査できる。サジタル断面コロナル断面アキシャル断面アキシャル断面コロナル断面サジタル断面

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