19Dentalism 38 MARCH 2020経口栄養が全身の健康に関わるメカニズムを解明。摂食嚥下訓練による今後の医療向上に期待。 脳卒中後に経口栄養が不可能となり、経管栄養とならざるを得ないケースは多いが、摂食嚥下訓練により再び口から食事を摂取できるようになったという報告も多い。口腔と大腸は腸管を通じて繋がっており、食物、唾液、口腔内細菌は嚥下によって腸管へと流入しているため、これらが腸内細菌叢の変化に影響を及ぼす可能性がある。しかし、経口栄養がどのように腸内細菌叢に影響を及ぼしているかは不明だった。 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野の戸原玄准教授と歯周病学分野の片桐さやか助教のグループの研究により、経口栄養を再獲得することにより、口腔内および腸内細菌叢の多様性が増加し、細菌叢の組成が変化していることが分かった。さらに、Carnobacteriaceae科とGranulicatella属の細菌量が経口食物摂取の再開後、口腔と腸内の両方で増加していたという。また、細菌同士の相関関係を示したネットワーク構造も、経口栄養の再獲得後には口腔内、腸内共に、一つのネットワークにより多くの細菌が関わるように変化しており、機能予測解析の結果から、経管栄養時と比較して、経口栄養時に発現しうる代謝経路があること明らかになった。 この研究結果により、経口栄養の再獲得が全身の健康の維持にも重要であることが実証されたことは言うまでもない。食べることの重要性を理解した摂食嚥下訓練は今後の医療向上に役立つことが期待される。歯科技工士の有給取得日数「0日」が23.8%。待遇面への不満で、離職率上昇に拍車がかかる!? 日本歯科技工士会が3年ごとに調査を実施している「歯科技工士実態調査報告書」によると、有給休暇制度が「ある」とした職場は全体の63%、「ない」とした職場が33・7%だった。有給取得日数でみると、「0日」が23・8%にものぼっている。 また、給与面でボーナス支給の状況を見てみると、「支給された」が60・4%。過去の調査を比較しても、2209年の68・9%から12年には66・4%、15年には64・5%と回を追うごとに減少している。しかも、歯科技工所勤務のみでみると48・7%と5割を切っている状況だ。 他事業所への転職意向の質問では、「そう思う」が35・5%にのぼり、特に40代では48・6%と半数に迫るほど。その理由では、「給与」が62・6%で最も高く、次いで「将来性」46・7%、「労働時間」と「人間関係」が44%で続いている。特に20代では、「給与」が69・7%とほぼ7割に達しており、若年層の低収入も課題だ。労働環境の悪さと低収入、こうした状況が約7割ともいわれている歯科技工士の離職率の大きな原因になっていることは間違いないだろう。■有給休暇制度の有無513 歯科技工所261 歯科医院(診療所)159 その他80 574 754 746 勤務先種別勤務者全体(2018年)勤務者全体(2015年)勤務者全体(2012年)勤務者全体(2009年)制度がある制度はない無回答63.055.962.396.357.046.252.833.742.937.12.538.550.545.03.31.10.61.34.53.32.1(%)n=東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野戸原 玄 准教授
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