Dentalism38号
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注目の歯科医師インタビュー15Dentalism 38 MARCH 2020Prole 羽尾博嗣(はお・ひろつぐ)1999年岩手医科大学歯学部卒業2003年新潟大学歯学部第2補綴科にて博士号取得2003年新潟大学医歯学総合病院勤務2005年羽尾歯科医院 春日山開業2014年医療法人社団 羽尾歯科医院理事長羽尾歯科医院 春日山新潟県上越市春日山町3-18-41025-527-4618https://www.hao-dental.com/高座名「羽尾歯科亭 半寒(ハンサム)」として、落語を使った健康セミナーを開催。歯の重要性を伝えている。――診療だけでなく、院内セミナーにも積極的に取り組まれていますね。羽尾 そのために、受付の前に広いスペースを設けましたから。月に1回テーマを変えて、誰でも参加できる予防歯科セミナーを開催しています。また、脳生理学的に、青年期になってから身に付いたことは忘れてしまっても、幼少期に覚えたことは習慣として身に付くと言いますし、子供のうちに正しい知識と習慣を学んでほしいということで、親子向けに「0才からの子育てセミナー」を始めました。出来るだけ分かりやすく、楽しく理解してもらうためにイラストや漫画を入れた資料も自分で作っています。――羽尾先生ご自身が作られているとは驚きです。羽尾 患者さんに理解していただくためには、手を変え品を変え何でもやらないといけませんから(笑) それから、意外とお母様方が自分も診てほしいというケースが多くて、月曜と金曜の午前診療のみ、「マザーズデー」と題し、待合室の一部を託児所にして保育士の資格を持つスタッフを常駐させることで、お母様方が安心して来られるようにしています。――歯科医院以外でも啓発活動を行われているそうで。羽尾 元々小学校の頃から落語をしていまして、歯医者の怖いイメージを覆すためには「笑い」で何か出来ないかなと。それで、健康セミナーに落語を取り入れてやってみたんです。高座名は「羽尾歯科亭 半寒」。半分寒いと書いてハンサムなので、自分の顔がハンサムだったらいいなという願望(顔貌)と、私の落語がスベったときに場の温度が下がるという意味合いでこの名前にしています(笑)――どういった場所で落語セミナーをされているのですか?羽尾 先日は訪問診療をさせている老人ホームの文化祭に呼ばれまして、「歯無しにならないためのはなし」というテーマで、歯をなくさないための口腔ケアや歯周病についての話をさせていただきました。他にも、呼んでいただければ何処でも伺いますよ。――本当に色々されていますね。羽尾 昔から喋るのが大好きでしたので。やっぱり歯科医院ですとどうしても患者さんが緊張されていますので、色んな場で啓発をしていきたいと考えています。それで、最近感じるのですが、一般の方はみなさん歯に興味がありますよ。テレビで取り上げられれば見てらっしゃいますし、歯をテーマにした雑誌は売れますし、口腔ケアの商品も売れていますし。歯科への関心が高まっていることを実感します。――これからの展望を教えてください。羽尾 より一層、私の理念である歯を「治す」から「守る」を実践して、予防歯科を徹底していきたいです。もちろん私一人では限界がありますので、歯科衛生士さんや歯科技工士さんの助けが必要です。共通の目標、理念を持った各専門分野のプロによるチームプレーで結果を出していきたいですね。――チーム医療が鍵になってきますね。羽尾 そうですね。ただ、患者さんご本人が予防歯科の重要性を理解し、メンテナンスに定期的に通っていただき、さらにホームケアを頑張っていかないと結果は伴いません。――そういう意味では、患者さんもチームの一員にならなければいけないということですか?羽尾 まさしくそうです。世界で一番予防が進んでいるスウェーデンの定期検診率が大人で80~90%に対し、日本ではまだたったの6%と言われています。残りの94%の人に、予防歯科の重要性をどう伝えていくか。それが私の課題でもありますし、歯科界の課題でもあるでしょう。それから、より多くの日本人に、「世界には歯ブラシ1本で救える命がある」ことを知ってもらいたいということと、いつかフィリピンの貧困地区に歯ブラシの配布とその使い方を教える「歯ブラシセンター」を設立するという夢を持っています。大きな話かもしれませんが、夢は生きる原動力になりますから。 フィリピンでの歯科医療ボランティア経験から、歯を「治す」から「守る」という予防歯科への意識を高めた羽尾先生。ドクター、スタッフ、患者の笑顔で溢れる次世代の歯科医院を作る夢を実現するため邁進している。

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