Dentalism37号
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Dentalism 37 WINTER 2019 14センターで入院患者さんに対して口腔ケアを施したらどうだろうかということが始まって、その結果、手術の予後も良くなり入院期間も短くなりました。そういうようなことがきっかけで、だんだんと病院での口腔ケアが全国に広がっていったんです。――周術期もそうですが、高齢化の中で歯科界も考えていかなければいけないことが多いですね。和泉 高齢になると自分でしっかりとした口腔ケアが出来ない、または歯科医院に通うことができない人が増えるでしょう。そういう意味ではもっと訪問診療を充実させていかなければいけません。また、色々な口腔ケアアイテムの開和泉 初めてですね。ですから大変でした(笑) 今までは全身疾患はあっても外来に通院できる方を相手にしていましたから、「ブラッシングをしてください」と指導すれば、ほとんどの方はやってくれます。しかし、入院患者さんですとそういうわけにはいきません。色々な全身疾患もあるでしょうし、特に、総合南東北病院は元々脳神経疾患が専門ですので、そういう脳に疾患のある方はご自分でブラッシングが出来ないケースが多いですから。それから、そもそも入院患者さんはほとんどの場合、ベットに寝ていらっしゃいますから、寝ている状態で口の中を拝見するということも初めてでしたので。やっと慣れてきたという感じですね。歯科衛生士の方がこれまでやってこられていますので、教わることが多いです。――今までやってこられたこととは全く環境が違うわけですね。和泉 そうですね。これまでは高齢と言ってもだいたい70代ぐらいまでの方でしたが、現在は70代〜90代の方が中心ですから。そういう点でも今までやってきたことが通用しない部分があります。以前、歯周病治療に来られる患者さんで全身疾患を持っている人はどれぐらいいるのかを調査したことがあるのですが、40代の人でだいたい半分ぐらい、50代になると2/3ぐらい、60代になると4/5ぐらいという風にどんどん増えていくのです。全身疾患と一言で言っても、糖尿病や、心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患、肺炎など様々ありますし、対応する薬も様々です。そうすると、抜歯をするにしてもスケーリングをするにしてもすごく考えなくてはいけなくなります。処方されている薬によっては、血液がサラサラになって血が止まりにくい場合もあります。糖尿病に罹患されている患者さんに対してはその繋がりも考慮しなければいけません。――そういうことになってくると、歯科だけでなく医科の知識も必要になってきますね。和泉先生は、どうやって医科の勉強をされたのですか?和泉 東京医科歯科大学の場合には医学部がありますから、教養部で入学してから2年間は医科と歯科が一緒になって勉強するんです。――それは医科歯科大学ならではですね。和泉 医科にも友達がたくさんいますから、自然に医科の知識も入ってきましたし、彼らから教えてもらうこともありました。そういう意味では比較的、医科の知識が得やすい状況だったと思います。もちろん、自分で調べて勉強もしましたが(笑)――和泉先生のお話からも、周術期における口腔ケアの重要性が高まっていることがうかがえます。和泉 周術期の口腔ケアが注目される前は、入院患者さんの口腔内の状況により様々な悪影響がありました。例えば、飲み込んだものが通常は食道に行くはずが肺に行ってしまって肺炎で亡くなったり、手術で全身麻酔をする際に管を入れますがその管の先に口腔内の細菌がついて肺炎で亡くなったり。そのような中で、静岡県がんら週4回ということでほぼ常勤という形になりました。4回のうちの2回は口腔外科クリニックの外来で歯周治療を専門にやらせていただいておりまして、あとの2回は本院で入院患者さんに対しての口腔ケアを担当しています。――和泉先生ご自身では、周術期の口腔ケアをされるのは初めてですか?イオンの力で歯垢を落とす電動歯ブラシ「IONPA」。

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