Dentalism36号
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23Dentalism 36 AUTUMN 2019 ここ数年の歯科技工士国家試験の受験者数の減少でも分かるように、歯科技工士の不足が懸念されている。このままの状態が進めば、団塊世代が引退する頃には、歯科技工物の安定供給が難しくなり、技工物の質や安全性の低下も起こりうるかもしれない。 全国歯科技工士教育協議会によると、歯科技工士養成学校への入学者数は2000年の2922人から2017年には927人と激減。その結果、歯科技工士養成施設自体も2000年の77校から2017年には52校と、3割以上も減少している。さらに、養成学校を卒業して就職しても、その約7割が離職してしまうような状況だ。 日本歯科技工士会が3年ごとに実施している「2018歯科技工士実態調査」によると、歯科技工を続ける問題点のアンケートでは、「低価格・低賃金」が約8割、「長時間労働」が約7割と続き、今年から追加された「社会的地位の低さ」が約5割、「歯科技工士不足」が約4・5割と、上位に挙がった。 国家資格であるにもかかわらず社会的地位が低いと感じられる歯科技工士の現状。長時間労働、低賃金など課題は多いが、負のスパイラルを脱却し必要な人材を確保しなければ、国民の健康にも影響を及ぼしかねない。歯科技工士不足がいよいよ危機的状況に。長時間労働、低賃金で離職率の高さも問題。 898 83.1 69.7 50.8 46.1 40.4 27.2 20.2 18.3 13.3 8.8 7.1 5.2 2.6勤務者 513 83.6 71.2 55.0 51.3 41.7 18.5 21.1 14.8 19.9 5.8 10.7 5.8 2.1自営者 385 82.3 67.8 45.2 39.2 38.7 38.7 19.0 22.9 4.4 12.7 2.3 4.4 3.11,025 81.1 71.2 - - 48.3 33.2 20.0 13.8 13.1 9.7 6.1 7.9 2.9n=勤務・自営別全体(2018年)全体(2015年)0%20%40%60%80%100%n=30以上で全体+10pt以上全体+5pt以上全体-5pt以下全体-10pt以下■歯科技工士を続ける上での問題点無回答その他負債(借金)職場内の人間関係健康問題歯科技工士不足社会的地位の低さ長時間労働低価格・低賃金歯科診療所の後任歯科技工士転業(廃業)の可能性受注(仕事)量の減少歯科技工所の後継者専門的知識を有する歯科医師が介在しないマウスピース型矯正装置の危険性。 装着したワイアーが目立ってしまうブラケット矯正に比べ、目立ちにくい透明な樹脂製のマウスピースを使用するマウスピース矯正が人気を集めている。そんな中、日本矯正歯科学会がホームページ上で、「歯科医師が介在しない形でマウスピース型商品が販売され、歯列の改善への有効性を謳うケースが出てきている。矯正歯科治療は、正確な診断や精密な治療計画に立脚して行われるべき医療行為であり、誤ったマウスピース型製品の使用は予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性がある」との見解を発表。患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険と警鐘を鳴らしている。 マウスピース型矯正装置による治療にはメリットもあるがデメリットもあり、その欠点を踏まえた適応症の判断や専門的知識が必要とされる。大学病院等や学会が認める基本研修機関において、矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨している。 歯科矯正治療は本来、歯科医師が使用の適否の判断や不測の事態への対処、治療結果についての責任を負うもの。その重要性と自己判断に伴うリスクを国民に知ってもらうことが大切だろう。・他人から見えにくい装置である・装置の着脱が簡単で食事や歯磨きがしやすい・金属アレルギーを有する人も使用できる・診療室での治療時間が比較的短い・歯の移動量の少ない症例に限られる。(軽度の乱杭歯、軽度の歯の空隙、矯正治療後の軽度の後戻り等)・毎日長時間の装着を必要とし、使用状況によって効果が大きく異なる・小児や骨格性要因を含む症例には適さない・現在の医療水準で考えれば精密な歯の移動は原則として困難で、満足のいく治療結果が得られない可能性がある利 点欠 点

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