Dentalism36号
10/36

Dentalism 36 AUTUMN 20198は、ハーバード大学で講義をさせていただいて。私の中では10年間頑張った結果だと思えて、その感謝状を今でも院内に飾ってあります。――今はJIADSの受講生から講師、昨年1月には理事長という立場になられました。瀧野 JIADSは歴史もあって、大変素晴らしい先生方もたくさんいらっしゃいます。そんな中で私に何が出来るのかわかりませんが、精一杯やらせていただこうということで引き受けさせていただきました。JIADSとしてやっていくことはこれまでと大きくは変わりません。ただ、デジタル化や再生医療など、歯科医療も大きく変わっていますので、それに対応した授業は行っていくつもりです。JIADSはオープンで、その時の一番新しい情報を惜しみなく伝えることをモットーにしています。私も宮本先生に、「JIADSの講師というのは、場所を選ばず人を選ばず、どんな時も出し惜しみをせず全力で全ての事を伝えなさい」と教えてもらいました。なぜかというと、自分だけがその技術を持っていても、数名の限られた患者さんしか助けられません。しかし、その技術や知識を多くの人に伝えることでそれが50になって100になって、もしかしたら物凄い数の患者さんを救うことになるかもしれません。だから、JIADSの講師は1聞かれると10返すぐらい質問に答えます。通常の講義では動画を撮影するのも可能なんです。普通は知的財産を守るという意味でも動画を撮ることを禁止する場合が多いですが、JIADSはそれでもオープンにします。受講者に教えるということもありますが、その先にはたくさんの患者さんがいますから、そこをまず考えたいですね。あと、私もそうでしたが、受講する前より受講した後の方が間違いなく仕事が楽しくなるということは約束できます。――そのようなお考えもあるのか、JIADS以外にも、本当に多くのセミナーや講義、講演をしていらっしゃいますね。瀧野 そうですね。ただ、海外で発表をしたり講演に呼ばれたりするようになって、最初のうちは少し疑問に思うことがありました。私が海外で講演をするようなことが目の前の患者さんに対してどれだけの意味があるのか、うちのスタッフにどれだけの影響があるのかなどと考えていました。でも、ようやくここ数年で、そうやって続けてきたこと全てが結局、今の患者さんとスタッフに還元出来ていると実感できるようになったんです。ここまで来るには結構時間がかかりましたね。――講義や講演で心がけていることはありますか?瀧野 私は一度も同じ内容で話したことはないんです。年間何十回、これまで何百回と講演をしてきていますが、聴きに来られる方は毎回違いますし、場所も違います。だからそのシチュエーションにあった内容を考えています。当然、全てを新しく作ることはできませんから、ストーリーを組み替えたりですとか。聴きに来られる方のことを考えてということもありますが、私自身、毎回同じ内容で話すと楽しくないんですよ。今日聴きに来られる方がどんな人なのかを考えて作っていった方が楽しいんです。私のモットーは、「楽しく仕事をして、楽しく講演をして、楽しく勉強したい」で、全てに「楽しく」が付きます。自分が楽しくなければ聴いている人も絶対に

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る