Dentalism35号
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Dentalism 35 SUMMER 201910て臭う。これは誰でもそうなのですが、気になってしまった人はとことんまで気になるようになってしまうのです。しかも、口臭があったりなかったりを繰り返しますからご本人はずっと悩み続けることになるのです。――患者さんの悩みを取り除いてあげることが口臭治療において重要なのですね。本田 そうです。だから、治療自体はネバネバが起こる仕組みを教えてあげて、「今日はコレを使ってネバネバをなくすから、明日からあなた自身がネバネバを消すために、こういうことを日常生活で気を付けてください」と。こういうことというのは人それぞれですが、例えば、舌を動かすにようにするとか、目線を地面に対して水平にするとか、困ったときは上を向く、そうしたら勝手に喉の奥が開いて唾液が出てきます。よく姿勢を良くしなさいという歯科医師の方がいますが、姿勢ではなくて目線を水平に保つことが大切なのです。特に現代人はスマートフォンを見過ぎて、いつも下を向いていますから、どうしても舌が後ろにいきにくくなりますから。また、加齢によっても舌は後ろに下げることが出来なくなってきます。このように、舌の活動が低下することによって、唾液が流れにくくなるのです。その結果、免疫機能が低下し、肺炎になってしまうのです。そういうことを患者さんに教えてあげることで安心してもらい、また努力していただくことで、不安を取り除いていきます。不思議なもので、そうやってカウンセリングを続けていくと他人のことを意識しなくなるのです。患者さんによく聞くのですが、「ほんだ歯科の向かいは何屋さんだったか覚えている?」と。実際は、理容室なんですが、80%の人が何屋だったか覚えていない。でも、見ていないわけはないんです。そこで、「ものを見るとはどういうことか知ってる? 意識したものが見えたり記憶に残るんだ」と。治療を終えた患者さんが、「相手が鼻に手を当てなくなりました」と言うのですが、そうではなくてそれは患者さんが意識して見なくなっただけなんです。不安が消えれば意識して見なくなって、気にもならないし覚えてもいなくなる。そういうことが治療のゴールの目安になります。まずは、患者さんが言っていることは正しいというところに立つ。これが大切なのです。――口腔診療内科の側面が強いんですね。本田 そうです。だから脳も調べます。唾液が流れないのは自律神経に問題がある場合もありますので。交感神経と副交感神経のバランスが崩れていたり、バランスが取れていても全体的にパワーダウンしていてレスポンスがなかったり。歯科だけでなく医科や精神科の要素を用いて診療することが重要ですね。――提携クリニックも合わせて、一般向け、歯科向け関わらず著書は多くベストセラーも。

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