埼玉県、新白岡駅の近くに3年前に開業した「新白岡口腔リハ・歯科クリニック」があります。ここは訪問診療専門の歯科医院。診療ユニットはありますが、ほとんどは北は加須市から南は大宮まで1日10人ほどの在宅、施設で生活する高齢者や障がい者など、通院が困難な人を訪ねて診療にあたっています。「訪問先ではみなさんに喜んでいただき、とても忙しい毎日です」。山田剛院長(34)は、訪問診療が地域の方々から待たれていたことを実感しているといいます。昨年版「高齢社会白書」によると、日本の高齢者人口(65歳以上)は3515万人で高齢化率は27・7%、日本は既に「超高齢社会」を迎えているのです。「現在、紹介や診療を申し込まれた方だけで予約表はいっぱいですが、目の届かないところにお困りの患者さんがまだたくさんいらっしゃると思います」。長野県塩尻市の出身。鶴見大学卒業後、勤務医を経て松本歯科大学の障害者歯科学講座で学位を取得しました。そこには山田先生が師と仰ぐ河瀬聡一朗講師がいました。しかし入れ違いに、河瀬先生は東日本大震災被災地の復興・医療支援のために宮城・石巻に飛び込んでいきました。山田先生は、故郷信州で旗揚げ。2013年と今年、内科医のお母さんが経営するレディスクリニックに歯科を開設するとともに、2016年にここ埼玉に新白岡口腔リハ・歯科クリニックを開設したのです。理事長を務める医療法人「ねんりん会」。理念は「かんてんぱぱ」で知られる伊那食品工業株式会社の塚越寛会長の「年輪経営」から頂きました。「年輪経営は、急成長はいらない、毎年少しずつ成長する木の年輪のように組織をゆっくり確実に成長させるという理念です。私も同じように仲間を大事にして成長していきたいと思います」。スタッフは総勢22人。歯科衛生士、ケアマネ、保育士、管理栄養士など多職種で「地域に健康と幸せを広げていこう」と熱い想いを燃やしています。地域に﹇幸せ﹈ひろげる訪問診療文・菊池恩恵http://www.dentalism.jp■菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/鶴見大学歯学部附属病院でドライマウス外来を開設したり、ドライマウス研究会を主宰したりと口腔乾燥症研究の第一人者である斎藤一郎先生。う蝕や歯周病治療だけでなく、もっと広い視野で国民のQOLの向上を考え、歯科界をもっともっと魅力的なものにしていかないとと語る先生に、歯科医師としての誇りのようなものを感じました。インタビューに対応していただきました、東京慈恵会医科大学の太田修司先生によりますと、AEDを購入された歯科医院でも日常の管理が出来ていない場合が多い、せっかくのAEDも万が一の場合に使えなければ意味がないですから、管理・点検を徹底してほしいとのことでした。また、平成30年度の診療報酬改定により、外来環の施設基準が変更になり、AEDを導入される歯科医院も多くなると思いますので、ご注意いただければと思います。バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。訪問診療・地域医療の師河瀬先生(左)とこの日は日暮れまで施設と在宅を回った「来てもらえて本当にうれしい」。患者さんの笑顔が一番のご褒美
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