Dentalism34号
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■症例2:82歳女性 初診:2018年11月  主訴:前歯を綺麗にしたい(図8) 11、21、22生活歯形成(図9)スキャン(図10)症例1と同様の工程(株式会社愛歯)にてジルコニア・クラウンを作成する 近年次々と発売されるジルコニア・マテリアルには大きな改善がみられ、50%近くの透明感をもつ製品や、800MPa程度の曲げ強度を持たせた製品など、幅広いバリエーションが充実しつつあり、向上したカラーリング・テクニックにより審美性に優れたデンティン色を付与することが可能となったため、ほとんど症例で陶材によるレイヤリングが不要となった。(図11) セラミック系ブロックやレイヤリングしたジルコニア補綴に対してメーカーの要求する支台歯形成量は、フルジルコニア補綴の約2倍に達するが、これを忠実に遵守すると比較的歯のサイズが小さな日本人の場合は特に生活歯知覚過敏症や歯髄炎のリスクを不用意に高めてしまう。(図12) 納品されたフルジルコニア(図13)。レイヤリングの作業工程が省略できるため作製コスト、支台歯形成量の削減が可能となり、陶材部分の破折の心配もなくなる。装着後、周囲の歯と色調が調和した正面観(図14)とレントゲン(図15) ジルコニアは強度が高く、完全焼結後に精密研削・加工することは困難である。よって半焼結状態のジルコニアブロックをCAMによって削りだした後でシンタリング(本作業時に約20%の収縮が避けられない)を行うシステムが一般的である。すなわちCAD/CAMをシステムとして利用することによってのみ作製可能なマテリアルである。CS3600を用いた外注ラボとのデジタル連携によるベネフィット●治療時間の短縮と患者の印象時不快感の軽減●印象及び模型作製の工程が不要となる●外注ラボへの作業模型を送る作業が不要となる●印象材料、石膏、ワックス等多くの歯科材料がほぼ不要となる●石膏模型等の廃棄物処理費用負担がなくなる●印象時の歪みがなくなり補綴精度が向上する●院内CAD/CAMへの設備投資については不要である図9図14図15図13図11図12図8図10図16 精密鋳造体の完成までに寸法変化を受ける要因鋳造体製造工程膨張/収縮変化率(%)変動因子印象収縮0~1保管法トレー模型膨張0~0.3混水比ワックスパターン収縮0~1調整法(溶融法、軟化圧着法)、保管法埋没膨張0~2硬化膨張加熱膨張鋳造収縮0~2鋳造温度鋳造法鋳込み温度ジルコニア補綴作成に口腔内スキャナを用いると、いったん従来どおり印象による石膏模型を作成し、それをデスクトップスキャナ等でスキャンニング・デジタル化した場合と比較すると、複雑なステップごとに生じる誤差が発生しないため格段に適合精度が向上する。(図16)27Dentalism 34 SPRING 2019

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