Dentalism34号
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25Dentalism 34 SPRING 2019 フロスを歯磨きの前に行うことが最も効果的に歯垢を除去する理想的な順序であることが研究者らによって示された。この報告書は、米国歯周病学会(AAP)が発行するJournal of Periodontology(JOP)誌で特集された。歯磨きとフロス、どちらを先にすべきか?プリント、ウェブメディアを合わせ、世界90ヶ国、65万人の歯科医師に読まれている世界最大級の歯科医療情報メディア。世界の歯科関連ニュースや医療業務管理、臨床診断、歯科産業関連の最新情報を掲載している。 「ブラッシングとフロッシングの順序が歯間部の歯垢減少とフッ化物の維持に与える影響:無作為化比較対照臨床試験」というタイトルのこの試験では、25名の参加者に対し、先にブラシで歯を磨き、次にデンタルフロスを使って歯間空隙を清掃するように依頼した(歯ブラシ→フロス)。第2期では、同じ試験群に対し、フロスを使った後にブラシで歯を磨くよう依頼した(フロス→歯ブラシ)。研究者らは、全般的に歯間および口腔内の歯垢の量は、参加者がフロス─歯ブラシ法を行ったときに有意に減少したことを明らかにした。 研究者らは、フロッシングは歯間の細菌と残屑を解きほぐすため、次にブラッシングを行うと口内を水ですすぐ際にこれらの粒子をさらに口内から取り除くことができると主張した。歯垢内の細菌は歯周病の主な発症原因であり、歯周病とは、歯肉縁下に細菌が蓄積すると発生する炎症性疾患である。歯周病を治療せずに放置すると、腫脹、刺激、歯肉退縮、歯の脱落の恐れもある。 「患者からはよく、口腔衛生の日課として、どちらのステップを先に行ったら良いのか、質問されます」と、AAPの会長で歯科医のSteven R. Daniel氏は話す。「この試験ではフロスの後にブラッシングを行うことで口腔内の歯垢が減少する可能性を示しているが、すべての人にとって、笑顔のある健康を維持するには、忘れずに両方を毎日行うことが重要です」。 この試験では、参加者がブラッシング前にフロスを使った場合に、う蝕の予防に役立つ無機質のフッ化物が口腔内でより高濃度で維持されることも分かった。被験者はいずれの調査期間中もフッ化物配合歯磨剤を使用していた。 「正しい種類の歯ブラシや歯間クリーナー(フロスや歯間ブラシ)を選択するのと同様に、患者はフッ化物配合歯磨剤が自分にとって最善なのか、かかりつけの歯科医に相談すべき」と、Daniel氏は語った。AAPは、歯周病予防として、定期的なフロッシングおよび1日2回のブラッシングの実施と、年1回の総合的な歯周検査を受けるよう勧めており、そうすることで歯周病専門医から時期に合わせた適切なケアを受けられるため、定期的に受診する患者の歯周病は治療可能で回復することも多い。最近の試験で、歯垢除去にはフロッシングをブラッシング前に行うのが理想的な順序であることが示された(写真:Kotori、freeimages.com)Wiley Online LibraryのJOPポータルサイトhttps://onlinelibrary.wiley.com/journal/19433670より。(情報元:米国歯周病学会)出典:News USA 2018/9/5By Dental Tribune USA

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