Dentalism34号
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19Dentalism 34 SPRING 2019神戸に細胞培養加工設備を建設中。国立長寿医療研究センター幹細胞再生医療研究部部長中島美砂子1988年九州大学大学院歯学研究科卒業。2005年より国立長寿医療研究センターにて、歯の保存・延命化を目指す革新的歯科医療の開発研究に従事。4月からはアエラスバイオ社にて歯髄幹細胞を用いた再生医療、実用化に向けて臨床研究を進めている。抜歯の主原因でう蝕、歯周病が減少。破折の割合増加は抜歯の高齢化が原因か。歯髄幹細胞研究の第一人者・中島美砂子氏を迎えアエラスバイオ社が歯髄再生治療を事業化へ。 8020推進財団が2018年に行った「第2回永久歯の抜歯原因調査」によると、抜歯の主原因で最も多かったのは歯周病で37・1%、次いでう蝕が29・2%、破折が17・8%となった。2015年に行われた第一回調査と比べ、歯周病が4・6%、う蝕が3・1%減少し、破折は6・4%増加している。7日間の調査期間中の総抜歯数は8003本。抜歯数が最も多い年齢階級は65~69歳で、第一回調査の60~64歳より高齢となっている。主原因ごとの抜歯数と割合を年齢階級別にみると、う蝕の割合は40歳以降で減少し80歳以降で再びやや増加傾向に。歯周病と破折の割合は、35歳以降で年 歯髄に含まれる幹細胞を用いて、虫歯や歯周病によってダメージを受けた歯髄を甦らせる「歯髄再生治療」が、実現に向けて本格始動している。 幹細胞は、様々な組織や臓器に分化する性質を持ち、主に骨髄やへその緒、脂肪、歯髄などに含まれる。特に、歯髄幹細胞は硬い象牙質で守られているため状態が良く、増殖能力が高い。乳歯や親知らずなどの不用歯から採取することができ、抜髄した歯に移植して歯髄を再生することで、生きた歯を取り戻すことができる。 歯髄再生の事業化を目指すアエラスバイオ株式会社では、歯髄再生研究の第一人者として知られる国立研究開発法人国立長寿医療研究センター・幹細胞再生医療研究部の中島美砂齢とともに高くなり、60歳以降になるとほぼ一定だった。8020推進財団によると、破折の割合が増えたのは、う蝕や歯周疾患などによる抜歯が減少し、抜歯処置を受ける年齢が高くなっていることなどの影響があったのではないかとのことだが、今後の検証も必要としている。子部長を迎え、歯の輸送、歯髄幹細胞の分離・培養・保存などの研究をスタートした。3年後をめどに、歯髄再生・象牙質再生治療の実用化を目指している。 また、「国際くらしの医療館・神戸」に、細胞培養加工設備を建設中で、今年中に承認を取得する予定だ。同館では歯髄再生をはじめとした先端医療を学ぶセミナーや、医療現場を支える商品の体験機会などを提供し、医療関係者への情報発信基地としても役割を果たしていく。■抜歯の主原因別の割合う襍29.2%歯周病37.1%破折17.8%矯正1.9%埋伏歯5.0%その他7.6%不明1.4%■年齢階級別総抜歯数-1415-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-6970-7475-7980-8485-抜歯数(本)1,2001,0008006004002000年齢階級(歳)

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