Dentalism34号
19/36

17Dentalism 34 SPRING 2019 永久歯の奥歯(第一大臼歯)と前歯(中切歯)のエナメル質は出生直前後に形成されるが、近年、そのエナメル質の形成不全が注目されている。このエナメル質形成不全は、歯の色が変化するなどの審美的な問題、歯の質低下によりう蝕になりやすいなどの問題が指摘されている。 そんな中、日本小児歯科学会と富山大学の共同研究により、小児のエナメル質形成不全の割合が、西日本で高く、東日本で低い、西高東低の分布を示すことを発表した。全国規模の調査で、エナメル質形成不全の有病率や、地域間差が明 日本歯科医師会が8020運動30周年記念事業として製作、歯科医療現場をテーマに若者たちの成長を描いた映画「笑顔の向こうに」が2月15日よりイオンシネマで全国公開され、盛況となっている。歯科医療現場が映画の題材になったのは、洋画・邦画含めてもおそらく初めて。 本作は第16回モナコ国際映画祭コンペティション部門で、エンジェルピースアワード(最優秀作らかになったのは日本初となる。 調査の結果、エナメル質形成不全の有病率は、日本全体で19・8%。地域別では、北海道が14・0%、東北が11・7%、関東信越が18・5%、東海北陸が19・3%、近畿が22・3、中国が19・8%、四国が28・1%、九州・沖縄が25・3%。全体として西高東低の地域差が認められた。エナメル質形成不全の有病率が最も高い四国は、最も低い東北の2・4倍にもなる。 エナメル質形成不全は妊娠中から乳幼児期までの歯の形成時期の種々の要因によって起こるとされている。乳歯の形成不全は早産や栄養障害、妊娠中の抗生物質の服薬など、永久歯の形成不全は感染症、栄養障害、乳歯のう蝕、外傷などが原因と考えられる。なぜ、これほどまでエナメル質形成不全に地域差が生じるのか、その背景についての研究に注目が集まるに違いない。品賞)を受賞。また、丹古母鬼馬二が助演男優賞を獲得し、ダブル受賞の快挙を果たした。 完成披露上映会で、「入れ歯がこんなに出てくる映画はない」と榎本監督が言っているが、「普段、あまり関心を持つことがない歯科技工士や歯科衛生士の現場を垣間見ることができ、面白かった」との観客の声も多かった。口内環境を整えることが高齢者の健康長寿を支えること、8020運動の大切さなどの周知に繋がったようだ。DVD化の予定もあるようで楽しみだ。エナメル質形成不全に地域差。西高東低で最大2倍以上の差あり。「笑顔の向こうに」が大盛況。8020運動の大切さを伝える。■エナメル質形成不全の 有病率における地域差左右上下の第1大臼歯のいずれかに形成不全がある場合をエナメル質形成不全と診断して、厚生労働省の管轄地域によって日本全体を8地域に区分し、各地域ごとの有病率を算出。1. 北海道 14.0%2. 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島) 11.7%3. 関東信越(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、 神奈川、新潟、山梨、長野) 18.5%4. 東海北陸(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重) 19.3%5. 近畿(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、 和歌山) 22.3%6. 中国(鳥取、島根、岡山、広島、山口) 19.8%7. 四国(徳島、香川、愛媛、高知) 28.1%8. 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、 鹿児島、沖縄) 25.3%14.0%11.7%18.5%19.3%22.3%19.8%28.1%25.3%12345678

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る