Dentalism34号
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Dentalism 34 SPRING 201912す。そういう意味では、このサリバチェッカーを通して医科と歯科の連携がどれぐらい進むのかというのも興味深いです。ありがたいことに歯科の先生方からの反応も良く、実際、「ガイアの夜明け」で紹介されてから問い合わせが殺到しているのですが、その半分ぐらいが歯科医院からでして、サリバチェッカーを導入したいという内容でした。また、歯科医院が窓口ということで言いますと、実は唾液での歯周病の検査にも取り組んでいまして、今後はレポートに歯周病も加えていく予定です。歯科医院出てきています。例えば大腸がんの検診方法で一番使われているのが便潜血反応なのですが、この検査で陽性と診断された方でも3%ぐらいしか本当に大腸がんの人がいないのです。それに比べて、これまでのサリバチェッカーでの経験で言いますと、うまくいけば20%かそれ以上の的中率が得られるのでないかという感触はあります。ポリープの段階でもある程度見つかる可能性が高いというのも特長ですね。また、膵臓がんでも従来の腫瘍マーカーよりもサリバチェッカーの方が早期に診断できたという経験もございます。ただ、このサリバチェッカーはあくまで病気を診断するための入口の検査なので、がんのリスクが高いという結果が出た場合でも、ただちにそれががんに罹患しているというわけではなく、診断するためにはしっかりと部位診断をしなくてはいけません。例えば大腸がんであれば、大腸内視鏡検査で病変を見つけて初めてこれは大腸がんだと診断できるわけです。現在の日本ですと、がんではないかと疑いを持ったときに、すぐにCT検査やPET検査を受けられる方もいますが、日本の医療費を考えますと、今後はそういった細かな部分まで国が面倒をみることは難しくなると思います。どうしても国が負担しなければいけない部分を決めて、その他の部分は国民一人ひとりがヘルスケアをしていくことが必要になってくるでしょう。そうであれば、適切な検査である程度段階を踏んだ方が良いのではないかと。そうすることによって無駄な検査を省いたり国民の不安を解消する助けになればと思っています。――どのような方が受けに来られているのですか?砂村私のクリニックだけで、約2年間でのべ800人ぐらいの方が受けられておられますが、年齢、性別は様々です。ただ特徴的なのは、ご夫婦で来られるケースが非常に多いです。従来の検診などは夫婦で一緒に受けるということはなかなかなかったかと思いますが、このサリバチェッカーに関しては簡便な検査法ということで、夫婦揃っての和やかな検診になっていますね。あとは、リピーターの方が多いのも特徴で毎年受けに来られる方も増えています。――サリバチェッカーを受けられる機関はどれぐらいあるのですか?砂村現在、サリバチェッカーの検査を受けられる機関は全国で約50カ所あるのですが、昨年初めで10カ所ぐらいでしたので1年弱で5倍になりました。このペースでどんどん増やしていこうかと考えています。ただ、医療機関だけですと広く全国をカバーするのはなかなか難しい。コンビニを通して全国展開をしようとも考えたのですが、医療の専門家ではない人に任せるのは不安もあるし良くないであろうと。そこで、コンビニと同じぐらいあると言われる歯科医院を通して全国展開できれば素晴らしいなという考えに至ったわけです。歯科医院であれば、唾液を採取するという行為は全く抵抗がないですし、検査を受けられる方も安心だと思いますので。そんな流れで、全国の歯科医院に広くネットワークを持つ歯愛メディカルさんとタッグを組むことにしました。――歯科医院が窓口になればということですね?砂村そうですね。歯科医院で専用のキットに唾液を採取していただいて、それを衛生検査所に送ってもらい、解析したレポートが後日送られてくるという流れです。現在、衛生検査所は山形県鶴岡にある1カ所だけですが、だんだん検体数が増えてきておりますので、関西の方にもう1カ所作ろうと考えています。レポートが届いて、もしサリバチェッカーの値が高かった場合は医療機関での精密検査を受けていただければありがたいですね。――歯科が窓口になれば、医科との関わりも密になりますね。砂村医科歯科連携がよく取り沙汰されていますが、何もないところでただ一緒に何かやりましょうと言っていても難しいと思うんで検査結果では、がんのリスク値を0~1.0の数値とABCDの4段階で評価。

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