Dentalism34号
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――まず、なぜ唾液を分析してがんのスクリーニング検査をしようと考えられたのですか?砂村私は東北大学の消化器外科の膵胆道外科で、膵臓や胆道の病気を診てきましたが、その中でも膵臓がんの患者さんが多くいらっしゃいました。膵臓がんは早期発見が難しいことで知られていますが、切除しない場合、5年生存率は非常に悪く、生存期間中央値も8カ月ぐらい。切除したとしても5年生きるのはなかなか大変で十何%しかいらっしゃらないんです。早期発見しないと治療成績が上がっていかないというのは分かりきったことで、しかも多くの場合、外科に紹介されてきたときには手術適応がありませんというケースが非常に多い。外科医の私としては患者さんがせめて手術できる段階で診断してほしいという想いがありました。――特に膵臓がんはがんの中でも早期発見が難しいと言われていますものね。砂村そうです。そういう面でいつもジレンマを抱えていました。平成18年に一旦メスを置いたのですが、手術はしないけれども何か出来ることはないかと当時流行の免疫療法などもずいぶん研究しました。最近、ようやくオプシーボなどが出てきて少し前進してきていますが、当時はハードルが高くてなかなか良い治療結果が出ませんでした。そうこうしているうちに、ハーバード大学に留学して人工肝臓の研究をしていた私の部下の外科医Dentalism 34 SPRING 201910取材・文/長田英一撮影/長屋和茂唾液を採取するだけでがんの早期発見に繋がる。歯科とも関係する未来のセルフヘルスケアとは!?日本人の2人に1人は罹患するという「がん」。現代の医療では、早期発見できれば治る可能性が高くなってきていることもあり、早期発見のための研究が盛んに行われている。そんな中、唾液を採取して分析するだけで、複数のがんの疑いを調べることができる「サリバチェッカー」が注目されている。従来の検査法やその他の最新検査法とどのように違うのか、さらに歯科医院との重要な関係性とは何か、「サリバチェッカー」を開発した『株式会社サリバテック』代表取締役であり消化器外科医でもある砂村眞琴氏に話を伺った。Special Interviewスペシャルインタビュー株式会社サリバテック代表取締役&CEO大泉中央クリニック院長砂村眞琴Makoto SunamuraProle 砂村眞琴(すなむら・まこと)1981年、弘前大学医学部卒業後、消化器外科として、主に膵がんの診療・研究に尽力する。2007年、東京都練馬区の大泉中央クリニックの院長に就任。2013年12月に株式会社サリバテックを創業。がんの早期発見、早期治療をテーマにがん医療の第一線で活躍している。東北大学医学系研究科分子病理非常勤講師、東京医科大学八王子医療センター兼任教授、慶應義塾大学医学部非常勤講師。

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