Dentalism34号
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Dentalism 34 SPRING 20198林 いらっしゃらなかったと思います。いかに骨を作るか、いかに歯肉を移植するとかが全盛の時代でしたから。だから最初はかなりバッシングを受けました。いまだに否定される先生もいらっしゃいますけど(笑) しかし、抜歯即時埋入の方が患者さんのメリットが大きいという信念のもと、ここまでやってきました。――抜歯即時埋入のメリットは何なのでしょうか?林 一番は治療期間の短縮です。抜歯とインプラント埋入で二度行っていた手術が一度で済むため、患者さんの精神的、身体的負担が軽減されます。さらに、顎の骨を削る量や時間が少なくて済むので痛みや腫れがほとんどありません。また、患者さんのQOLのために、噛めない時間を短縮するという面もあります。半年や1年噛めないだけでそんなに変わるのか?と思われるかもしれませんが、高齢者の半年や1年は非常に長いですし重要です。食べる楽しみを奪うことになりますし、歯が悪いと友達にも会わなくなってしまいますから。患者さんのことを考えると、そういった期間を短縮するということは当然なことだと思います。ただ、抜歯即時埋入インプラントは通常のインプラント手術と比べて非常に繊細で高度な技術を要します。担当する歯科医師の技術や経験に左右される部分が大きいですので、しっかり勉強された方でないとリスクはありますね。――林先生ご自身はどうやって技術を身につけられたのですか?林 海外の学会に行って勉強したり、自分で文献を検索したり、あと一番身になったのはやはり自分の症例ですね。全ての症例で写真を撮って術後経過を追いました。――これまでどれぐらいの症例を手掛けられたのですか?林 年間で400本ぐらいですので、それが20年間ですから8000本ぐらいでしょうか。私は最小限しかインプラントを入れませんのでそれほど多い数ではないでしょうが、その一つひとつの積み重ねが大切な財産になっています。――他院での失敗症例を受けて来院される方も多いとか。どのような失敗症例が多いのですか?林 来院される4割の方はそうです。特に最近は多くなってきていますね。失敗症例については、基本的なことが出来ていないケースがほとんどです。特に埋入位置を間違えている場合が多い。水平的で垂直的な埋入位置が基本ですが、そうなっていないんです。埋入位置が浅いために粗面処理が出てそこにプラークが溜まって炎症が起こっている場合もあります。あとは素材の問題。要するに補綴的失敗ですね。例えば、咬み合わせが強い人に弱いセラミックなどを入れると割れてしまう場合もあります。もっとひどいのは、歯の本数が足りないとか多すぎるというケースもありました。歯列からはみ出していたり(笑) 笑ってしまうぐらいに明らかにおかしいことがまかり通っているんです。しかも、そういう前医の対応が悪い場合、治療後にその歯科医院に行くと閉院していたというケースが本当に多い。メンテナンスも何もないんですよ。――メディアでもインプラントによるトラブルが報道されていますが、しっかりされている先生とそうでない先生の差が激しいということでしょうか?林 インプラントに関しては、そういうことが多いですね。インプラント学会指定の講習会などはありますが、頭では分かっていても実際にやってみると上手くいかないケースが多いようです。それ以前に、患者さんのことを考えずにお金儲けに走っている方も多く、歯科医師としてどうかという資質の問題にもなっていますね。安易にインプラントに手を出して、お金儲けの手段の一つにするような歯科医院が増えているからこのような問題が出てくるのだと思います。――歯科技工士の方もかなりいらっしゃるとか?林 現在、8名の歯科技工士がいます。1階から3階までが診療室で、4階から5階が技工室になっておりまして、チタンを除いては全て自院で補綴物を作っております。それも、歯科技工士が患者さん患者のために手術時間をいかに短くするかも考えている。

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