Dentalism32号
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全国の保育園の待機児童数は5万5千人(厚労省:2017年10月1日現在)で3年連続で増加しており、「保育園落ちた 日本死ね!」に象徴される深刻な事態が続いています。 歯科医院のなかに託児ルームを作り保育士を常駐させる医院も増えていますが、一歩進んで自ら保育園を作り「保育所不足」に挑戦している歯科医院があります。 神戸市中央区に「すぎ歯科クリニック」を開業して10年目を迎える杉真一郎院長(41)。7月末に医院の隣に「すぎのこ保育園」をオープンしました。 医院のスタッフとともに、地域の子どもとお母さんが安心して暮らせるよう、地域に開かれた保育園にしたのです。定員は12名で0歳児(6ヵ月)から受け入れ、一時保育もOKです。 「部屋の真ん中にはツリークライミングができる大きな木を立てました。〈杉〉の材料も屋久杉や天然の絞り丸太杉などを使って、子どもたちにさまざまな材料に触れて感じてほしい。豊かな感性を育む保育園を目指しました」と杉先生。 「すぎのこ保育園」には歯科医院附属ならではの思いも込められています。小さい頃から健康な口腔を育てて「すぎのこのようにまっすぐ育ってほしい、という願いから、毎年の歯科健診とともに子育てに日常的に「歯育て」を導入しています。 特に食事には特別の注意を払い、完全自園調理の給食や週3回の手作りおやつ、園で育てた野菜や果物に「触れて感じておいしく食べる食育」を行っています。 この保育園は、国が主導する「企業主導型保育事業」の助成制度を活用して設立しました。「この歯科医院がずっとこの街のホームデンティストで有り続けるために、医院の従業員が働き続けられる環境を作るとともに、何よりも私が生まれ育ったこの神戸の街がより明るく住みよい街になるよう地域づくりに貢献したいと思いました」。 地域医療は地域づくりそのもの。「すぎのこ保育園」の誕生は、歯科医院がその中核を担う時代が到来していることを示す快挙なのです。歯科医院が保育園を作りました!文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp発行人/寺西秀樹編集人/長田英一発行所/株式会社 金沢倶楽部〒100-0006東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館6階 LEAGUE有楽町TEL 03-6268-0718FAX 03-6268-0717■編集後記菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第31号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介します。今月も多くの歯科関係の方にご協力賜り誠にありがとうございました。また、西日本豪雨で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。「注目の歯科医師コーナーで、『若林歯科医院』『オーラルケアクリニック青山』の若林健史先生のインタビューを読ませていただきました。テレビCMで拝見することがあり、どんな方なんだろうという興味があったところでしたので、私のタイミング的にもドンピシャ。「歯周病治療の需要の高まりに私たち歯科医師が追いついていない」というコメントが胸に刺さりました。私も含めた若手歯科医師がもっともっとレベルアップしていかなければいけませんね」 千葉県 S歯科医院様自分自身のスキルアップはもちろん、歯科界全体における歯周病治療のボトムアップについて熱く語っておられました。日本歯周病学会や日本臨床歯周病学会の要職に就かれている身としても先輩歯科医師としても、若い先生方の頑張りに期待されているようです。「東京大学の飯島勝矢先生の記事を拝見しました。最近、フレイルという言葉を耳にすることが多かったですが、ようやくどういうことかが分かりました。口腔機能の維持と一言で言っても色々な意味合いがあるのですね。歯科界の役割が非常に大きいということもあり、自分の仕事の励みになりました」No. 32 AUTUMN 2018 Dentalism 32 AUTUMN 2018 28 愛知県 H歯科医院様飯島先生もフレイル予防プロジェクトを展開する中で、歯科の重要性をこれまで以上に感じているそうです。これまでの歯科治療ではなく、トータルアセスメント、トータルサジェスチョンといった幅広く多面的に口腔機能を評価できる歯科界に進化していってほしいと切に願っているとのことです。「過去の『デンタリズム』を見るにはどうすればよろしいでしょうか?」 福岡県 K歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。その他にも多くの皆様よりメールやお電話などでお問い合わせやご要望をいただきました。本当にありがとうございました。なお、『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力の相談につきましても随時受け付けております。お電話又はホームページの問い合わせフォームよりご連絡下さい。笑顔がいっぱいのすぎ歯科クリニックすぎのこ保育園の巨大ツリー
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