Dentalism32号
27/32
25 Dentalism 32 AUTUMN 2018 喫煙者は交通事故による死亡リスクが高いことが明らかになった。東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野准教授の相田潤氏らが、20年にわたる前向きコホート研究により喫煙と交通事故死との関連を検討し、J Epidemiol(2018年5月31日オンライン版)に発表した。男性で20本以上喫煙者は1・5倍高リスク 相田氏らは、茨城県健診受診者生命予後追跡調査事業の1993〜2013年のデータを用いて研究を実施。1993年当時の同県内38市町村における基本健康診査受診者(40〜79喫煙者は交通事故の死亡リスクも高い吸わないやめた20本未満/日20本以上/日交通事故死亡のハザード比(男性)2.52.01.51.00.501.54男性では非喫煙者と比べて、1日たばこを20本以上吸う者は交通事故死亡のリスクが1.54倍高かった(95%信頼区間:0.99-2.39)。※東北大学大学院 歯学研究科提供Medical Tribune紙:1968年にわが国で唯一の週刊医学新聞として創刊されました。各種医学会取材による最新医学情報をはじめ、専門家へのインタビュー記事、解説記事など、研究や日常診療に役立つ情報を提供しているジャーナル歳)9万7078例を20年間追跡し、追跡不能者などを除く9万6384例(男性3万3018例、女性6万3366例)の予後に関するデータを解析した。 その結果、1000人・年当たりの交通事故による死亡発生率は、男性では「非喫煙者」が0・24、「過去喫煙者」が0・30、「1日20本未満吸う現喫煙者」が0・36、「1日20本以上吸う現喫煙者」が0・32。女性ではそれぞれ0・12、0・13、0、0だった。 年齢、飲酒状況を調整したモデルにおいて、男性では「非喫煙者」に対し「1日20本以上吸う現喫煙者」は交通事故による死亡のハザード比が1・54(95%CI 0・99〜2・39)と高い傾向にあった。 同氏らは今回の結果について、「交通事故死というこれまでとは異なる観点からたばこ対策を支持する結果。交通事故は運転手や同乗者らに大きな影響を与え、経済的損失も生じさせる。今後も禁煙を含めた多角的な交通安全対策が必要であると考えられる」とコメントしている。(Medical Tribune 2018年8月2日号14ページより転載)喫煙状況による交通事故死亡のハザード比および95%信頼区間男性女性イベント発生率(千人年あたり)0.240.300.360.320.120.1300年齢調整モデルハザード比reference1.141.321.60reference1.19ーbー95% CⅠa0.72, 1.790.80, 2.191.03, 2.470.17, 8.53ーーaCⅠ, 信頼区間 bー, 観察なしP値0.580.280.040.86ーー年齢、飲酒状況調整モデルハザード比reference1.131.321.54reference1.21ーー95% CⅠ0.72, 1.790.79, 2.200.99, 2.390.17, 8.73ーーP値0.590.280.060.85ーー非喫煙者過去喫煙者現在喫煙者 20本未満/日 20本以上/日非喫煙者過去喫煙者現在喫煙者 20本未満/日 20本以上/日※東北大学大学院 歯学研究科提供
元のページ
../index.html#27