Dentalism32号
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15 Dentalism 32 AUTUMN 2018が外来診療の患者さんに「認知症予防には口腔ケアが大事なんだよ」と言うと、「わかりました。かかりつけの歯医者さんに行きます」とずいぶん多くの方に言われました。ただ、それでせっかく歯科医院に行っても「むし歯の治療だけして終わりました」と言われる方も沢山おられます。予防歯科が主流になってきていると言われていますが、実際はまだまだではないでしょうか。病気になってから、高齢になってからではなく日頃からのメンテナンスが出来る歯科医院が増えることで、生士が1・5人程度しかいないということ。これではしっかりとしたメンテナンスをすることもできないでしょう。もちろん、歯科医院1軒あたり歯科衛生士が1・5人というのは平均の話で、0人のところもあれば10人もいるというところもあって、歯科医院によっても都会か田舎かといった場所でもものすごく偏在しています。これから医科が歯科の重要性に気づいて歯科医院に行く人が増えても、メンテナンスという概念がない歯科医院はどんどん淘汰されていくでしょうね。私一生涯口から食事が摂れるぐらい歯が残り、結果として糖尿病や認知症の予防に繋がっていくのではないかと思います。――認知症の患者さんを歯科医院で診療する心構えはありますか?長谷川 歯科医師会から歯科医師の方々に向けて認知症の話をしてほしいという講演依頼がよくありますが、ひどい歯科医師の方になると認知症患者は今後のために早い段階から歯を全部抜いておいた方がいいという人もいます。しかし、認知症には段階がありまして、ごくごく早期の認知症から、物忘れという中核症状だけが出てくる段階、さらに幻覚や妄想などの周辺症状が出てくる段階など様々で、その段階に応じた対応をしなければいけないと説明しています。中には、診療室で大暴れされるのではないかと心配される方もいますが、人間の社会性は最後の最後まで保たれるものですから、歯科医院のチェアに座ってという緊張感の中で大暴れするケースはかなり少ないですね。――長谷川先生と言えば、ご自身のブログも人気ですが。長谷川 ブログを書くことに命を懸けてますから(笑) 1回4000から5000文字ぐらいの量で週に3回のペースで更新していますね。おかげさまで、月に120万ものアクセスをいただいています。――元々、文章を書くのが好きだったのですか?長谷川 いえいえ、昔は大嫌いでした。それが、医者になって論文を書かなくてはいけなくなって、論理的な思考を徹底的に指導されるうちに自然と書けるようになってきた感じです。ただ、忙しい中ブログを書くモチベーションも必要で、やっぱりうちに来ていただいた患者さんだけじゃなくもっと多くの方に認知症のことを知っていただきたいという想いがあるからこそ書けるのかなと。最近は、著書のベースになるかなということもありますが(笑)――医療法人ブレイングループ、土岐内科クリニックのこれからの展望をお聞かせ下さい。長谷川 まずは近いうちに歯科医師の方を入れて歯科治療外来も受け入れられるようにすること。その後は、チェアが20台ぐらいある大きな歯科医院を一つ作って、いくつかの内科クリニックに歯科衛生士を派遣して口腔のメンテナンスをしていくということを考えています。すでに、隣の多治見市で内科と整形外科とデイサービスと薬局がある『メディカルゾーン』という複合医療施設を運営していますが、そこに歯科を入れるというのもいいですね。何はともあれ、外来でも在宅でもより一層口腔メンテナンスを取り入れていこうと思っています。そしてそれが患者さんのQOLの向上につながっていくと確信しています。

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