Dentalism31号
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7 Dentalism 31 SUMMER 2018く食事をするためには、現状はこうなっていて今どういう治療が必要なのかを患者さんのご納得がいくまで話をするんです。それもチェアサイドで口の中を診ながらどうこう言うのではなく、ユニットを降りてカウンセリングルームでじっくり話すことが大切だと考えています。寝たままの状態で上からここがこうでこうしなきゃだめだとか言われてしまうと、弱者である患者さんは恐怖もあってなかなか言いたいことも言えないでしょう。ですから、カウンセリングルームで同じ目線でしっかり説明することを心がけています。││治療の際に重要視されていることは?若林 とにかく痛くないようにすること。歯を削るときも神経をとるときも抜歯のときも診療の際は、無痛治療を心がけています。当院では、診療中に寝てしまう人が多いんです。それぐらいリラックスしてもらうことが大切だと思いますし、痛さがストレスになっていては継続的に歯科治療を行うことは難しいでしょう。││痛くない治療だからこそ継続的に通う人が多くなるわけですね。歯周病治療を専門にされようと思ったきっかけは?若林 大学を卒業後、叔父がやっていた自由診療専門の歯科クリニックに勤務したんです。当時は、現在と違って保険診療をしていなければ患者が来ないという時代で、自由診療の歯科医院は非常に珍しかったのですが、遠方から患者さんがいらっしゃるほどの人気でした。実際の診療も、テクニカルな部分や患者さんとのコミュニケーションなど、時間のかけ方が違っていました。大学時代に行っていた臨床とは全くかけ離れていて、衝撃を受けたことを覚えています。そして、これが今の私の診療のモデルとなりました。叔父は特に歯周病の予防に力を入れていたんですが、ブラッシング指導やスケーリング、ルートプレーニングなどの基本治療を徹底している彼の姿を見てその大切さを実感し、私も歯周病予防を専門にやろうと考えたわけです。将来的に予防歯科の需要が高まるだろうという予測もありましたし。││おっしゃる通り、現在では予防歯科、特に歯周病予防の重要性が高まっていますね。若林 そうですね。私が歯周病の専門医・指導医であることから、当院に来られる患者さんも増えてきています。数年前から歯周病と全身疾患の関係性がメディアでも取り上げられるようになりました。糖尿病はもちろん、心筋梗塞や脳梗塞、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症など、数えきれません。そういったことが知られるにつれ、国民の方々も歯周病というのは危険な病気だなと、自分は歯周病かもしれないという心配される方が増えていることは確かです。ネットなどで歯周病・歯科医院と検索すると大体歯周病専門医がいるクリニックがあがってきますから、患者さんがそういうところに集中していくでしょう。実際に、当院にもそういう理由で来られる患者さんが増えていますし、すでにそういう状況になりつつあると思います。ただ、歯科界全体で言うと、国民の歯周病予防の需要の高まりに私たちが追いついていないというジレンマもあります。歯周病の専門医や認定医の数がなかなか増えていない。東京や大阪といった大都市ではまだ数はいるのですが、地方に行くと一人や二人しかいないところもあります。そういう風なことを考えると、現状では日本全体として歯周病治療がきちっとできているかどうかというと、まだまだというのが学会の考えです。 ││なぜ歯周病専門医や認定医が増えないのでしょうか?若林 歯周病専門医の資格を取ろうと思うと、術前術後のレントゲン写真や口腔内のスライド、オペをした部分の写真などの資料を何症例も提出しなくてはいけません。その条件を満たすためには普段からの臨床での適切な治療はもちろん、きちっとした資料取りもしておかないといけない。歯周病専門医が増えないということは、そういうことがしっかり出来ている歯科医がまだまだ少ないのではないでしょうか。日本歯周病学会でも臨床歯周病学会でも、各地方の支部が研修会を開催して、専門医になるためのスキルアップをサポートしています。特に若い歯科医師の方には、そういうところに積極的に参加して専門医の資格を取ってほしいですね。それが日本の歯周病治療のボトムアップに繋がると思います。││ペリオドンタルシンドロームという言葉も最近耳にするようになりました。若林 実は私がその名前を考えたんです。メタボリックシンドロームという言葉がありますが、あれは医科の先生が受診率を高めるため週に1回以上のペースでセミナーや講演を行っている若林先生。

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