Dentalism31号
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 日本の歯科医療はいま大きな転換の真っ只中にあります。歯周病と様々な疾患の関係が注目され、超高齢時代を迎えて、フレイル(加齢とともに活力が減退し、筋力や意欲が衰えてゆく老年症候群)や認知症の予防に果たす歯科の役割がクローズアップされています。キーワードは「口腔と全身の健康との関わり」そして「予防歯科」。口から食べて「健康長寿」を支える歯科の出番なのです。 名古屋から名鉄特急で30分、愛知県安城市にある「新安城歯科」もその課題に真正面からとりくむ歯科医院の一つです。ユニット3台で開業して13年目、高い治療技術と思いやりあふれる「親切で寄りそう心」で地域の患者さんに愛されてユニット13台を誇る規模に発展しました。 昨年7月、医院(本棟)のすぐ近くに「新棟」として予防歯科専門医院「Oasis (オアシス)新安城歯科」がオープンしました。 ユニットは8台、子どもの誕生から人生を閉じるまでの一生涯を視野に入れて、予防と定期メンテナンスを柱に、MRC(子どもの筋機能訓練)プログラムや足育・息育(呼吸)・食育など、こどもの成長や全身の健康とQOL(生活の質)向上をターゲットにした、歯科医院が誕生したのです。 新安城歯科の荒尾誠子院長(39)は「今歯科に求められている診療は予防とメンテナンスです。それを担う態勢はもっと強化していくべきだと思います」と語ります。 事実、ギネス登録の「国民病」である歯周病に本気で立ち向かうなら、今の歯科医院の数では足りないのです。また、口腔ケアで肺炎を予防できること、口から食べることが健康長寿に決定的な役割を果たすことが理解されてきています。 「予防は奥が深いです。私たちはその概念をさらに進めて、歯科の力で『寝たきり』を作らない社会をめざします。歯科は健康長寿の日本を作る『総合医』として活躍する力を持っています。今はがんばって『歯科力』をつける時だと思います」。 新しいOasisの空間で楽しそうに予防歯科に取り組む荒尾先生と新安城歯科のみなさんの笑顔と明るさに「歯科の未来」を見る思いがします。「歯科力」満載の予防歯科専門医院!文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp発行人/寺西秀樹編集人/長田英一発行所/株式会社 金沢倶楽部〒100-0006東京都千代田区有楽町2-10-1  東京交通会館6階 LEAGUE有楽町TEL 03-6268-0718FAX 03-6268-0717■編集後記菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第30号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介します。「『あすなろ小児歯科医院』の佐野先生の記事を拝見しました。クリニックの内装やスタッフの衣裳など、想像をはるかに超えるこだわりぶりで、驚くことばかりでした。一度見学させていただきたいですね。また、見た目はもちろんですが、佐野先生の考え方やスタッフの方々の仕事への取り組み方も素晴らしいです。信念を持って続けてこられたことがよく分かりました」 神奈川県 Y歯科医院様取材を通して、佐野先生の子どもたちへの愛情が伝わってきました。佐野先生曰く「自分たちの都合ではなく、子どもたちにとって何が良いかを考え続けた結果、今のようなかたちになりました」とのこと。改めて患者さんの立場にたつことの意味を考えさせられました。特に、小児歯科はその子どもが将来どう歯と向き合っていくかを決める時期にあたります。小児歯科の重要性を感じた取材となりました。「『お医者さんの話を聞いてみよう』の長尾先生のインタビューが興味深かったです。在宅医療や介護医療での歯科の重要性はもちろん、介護状態になる前に歯科としてどういったことが出来るのか、していかなければならないのかを考えさえられました。医療の在り方が変わりゆく中で、歯科界も変革が求められているのかもしれませんね。今後もためになる記事を期待していますし、楽しみにしています」 京都府 T歯科医院様No. 31 SUMMER 2018 Dentalism 31 SUMMER 2018 32高齢者医療において食べることは重要なキーワードです。早期からのう蝕や歯周病などの口腔ケア、嚥下リハビリが重要だと長尾先生は語られていました。医科歯科連携の重要性に関しては、今号でも東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授のインタビューを掲載しております。オーラルフレイルの観点から歯科がどのように取り組めばよいのか、歯科の課題が見えてくる内容になっています。「過去の『デンタリズム』を見るにはどうすればよろしいでしょうか?」 兵庫県 K歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。その他にも多くの皆様よりメールやお電話などでお問い合わせやご要望をいただきました。本当にありがとうございました。なお、『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力の相談につきましても随時受け付けております。お電話又はホームページの問い合わせフォームよりご連絡下さい。荒尾誠子先生とOasis新安城歯科

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