Dentalism31号
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取材・文/長田英一 撮影/中島繁樹フレイル予防プロジェクトを全国で展開。高齢者の包括的な虚弱予防に取り組む。――最近、フレイルやフレイル予防という言葉をよく耳にするようになりましたが、これはどういった概念なのでしょうか?飯島 我々、日本老年医学会が約4年前に、虚弱を表す「フレイルティ」という単語をカタカナにして新たに作り上げた概念です。我が国として従来の介護予防事業をこの10年間全国で展開してきたのですが、良い部分もあると同時に徐々に大きな課題も見えてきています。今まさに地域それぞれが今までの効果を検証し新たな戦略を考えなければならない時期ではないでしょうか。そこにフレイルという概念で新しい風を入れようというのが私の狙いなんです。フレイルを説明するには、3つの要素が必要不可欠です。一つは、健康な状態超高齢社会に突き進む日本において、高齢者の健康寿命をいかに延伸させるかが喫緊の課題となっている。そんな中、従来の介護予防事業に限界を感じ、新たな概念である「フレイル」を作り上げ、包括的なフレイル予防の取り組みを展開しているのが飯島勝矢教授だ。国民に分かりやすく住民同士でチェックできる簡易評価法「フレイルチェック」を考案。全国各地での講演のほか、市民主体のサポーターを養成するなど、積極的なプロジェクトを進めている飯島教授に、フレイルの重要性、オーラルフレイルに対しての歯科界の関わり方をうかがった。Special Interviewお医者さんの話を聞いてみよう!東京大学高齢社会総合研究機構教授飯島 勝矢Katsuya Iijimaと要介護状態の中間地点であるということ。二つ目は可逆性がある時期だということ。例えば、気持ちも含めて剛健、健康体だと感じている方でも日常で些細な問題が出てきている場合があるでしょう。ちょっと腰が痛いとか階段を下りるときに少し膝が痛くなったりとか、または食事の際にむせるようになったとか食べこぼしが多くなったとか。少しぐらいそんなことがあっても、「俺もいい歳だから仕方がない」と考えている方がほとんどです。しかし、そんな些細なことがもっと顕著になってきて心身共に衰えが進んでいき最終的には要介護になってしまう。この些細な衰えに気付いて、頑張れば大なり小なり元に戻せるんだということがフレイルの概念に入っているのです。しProle 飯島勝矢(いいじま・かつや)東京大学高齢社会総合研究機構教授。医学博士。専門は老年医学、総合老年学(Gerontology)。1990年、東京慈恵医科大学医学部卒業後、千葉大学医学部附属病院循環器内科に入局。その後、亀田総合病院、君津中央病院、東京都東部地域病院にて研鑽を積む。東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座講師やアメリカ・スタンフォード大学循環器内科研究等を経て現職に。フレイル予防のための大規模コホート研究および、調査結果を基盤としたシステム構築、まちづくりに携わっている。 Dentalism 31 SUMMER 2018 12
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