Dentalism31号
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注目の歯科医師インタビュー9 Dentalism 31 SUMMER 2018Prole 若林健史(わかばやし・けんじ)1982年 日本大学松戸歯学部卒業1989年 東京都渋谷区代官山にて開業日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長、米国歯周病学会会員、日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医院若林歯科医院東京都渋谷区恵比寿南2-5-1 EBISU TIDE BUILDING 2F蘂03-5794-0648オーラルケアクリニック青山東京都港区南青山3-15-6 リップルスクエアDビル3F蘂03-6447-0046れているのだと思います。││若林先生の人間性やお人柄もあるのでは?若林 いやいや私の人間性が良いかどうかはわかりません(笑) ただ、私は基本的に歯科衛生士が言ってきたことに対して否定しません。「こういう風なことをしたいんですけど」とか「こうしたらもっと良くなると思うんですけど」と言われたら、私は「わかった、1回やってみよう。やってみてダメだったら止めればいいんだし」と。頭からダメだと言っちゃう先生もいると思いますが、自由な発想を言える環境にしたいので拒否は絶対しません。自慢じゃないですが、スタッフを怒ったことがないんですよ。何かまずいことをしているなと思ったら、怒るのではなく本人に気付いてもらうようにしています。自分で気が付かないと人は変わろうとしないし変われないですから。││若林先生のセミナーでは歯科医院のシステム作りをテーマに話されることも多いとか。しかも、人気ですぐに定員が埋まってしまうと聞きます。若林 大したことを話しているわけではないんですが、何故だかあちこちから呼んでいただいております。特に、歯科医師の方だけでなく、歯科衛生士の方や医院のスタッフの皆さんが一緒にいる前で歯科医院のシステム構築についてお話しすると喜ばれますね。先生方に向けて、「凝り固まった頭でいたらだめだよ、もう少し自由にフレキシブルに考えないと。スタッフにあれが出来ていないこれが出来ていないと言っているばかりじゃなくて自分の行動を振り返ってみてくださいよ」と言うと、歯科衛生士さんたちはよく言ってくれたとなるし、先生方は痛いところを突かれてイタタタとなる。逆に歯科衛生士の方々に向けて、「のほほんとやっていたらだめだよ。診療時間後に練習したり休みの日にセミナーに行って努力しないと。それをしないで給料を上げてくれ、もっと休みをくれだとか言ってもそれはないでしょ」と言うと、先生方がよく言ってくれたと(笑) 私はどちらにも変わってほしいんです。自分たちのクリニックでミーティングをして、どうしていけばより良くすることができるかをスタッフ全員で考えていただきたいですね。歯科医療はチーム医療ですから。││最後に、先輩歯科医師として若手の歯科医師へのメッセージをお願いします。若林 実際に学校で教わってきた知識があると思うのですが、それはやっぱり紙の上での知識でしかありません。それを実際の臨床でしようと思ったときに、何となくではなく、「こういう理由だからこの処置をする」ということを一つひとつの治療で確認しながら実践してほしいですね。そういうことの積み重ねで学校で学んだ知識と自分が臨床でしていることがリンクしていきます。なぜその行動をするのかを常に考えることが大切です。あと、若い先生方は患者さんに自分の言いたいことだけを一方的に伝えて終わってしまっている場合が多いですね。研修を終えてくると、頭の中に知識が沢山あるから必要のない説明までしてしまって、今その患者さんにそれを言ったって聞く耳を持たないよみたいなことがよくあります。伝えることが大切なわけでなく伝わることが大切ですから。とはいえ、若い人の吸収力は凄いですし、レベルも上がってきていると思います。私は61歳ですけど、まだまだはなたれ小僧です。若い先生方と一緒に歯科業界を盛り上げていきたいですね。 自身の診療に加え、年間50回以上の講演やセミナーで全国を飛び回る忙しい日々。歯科に関することはもちろん仕事以外のことでも積極的に吸収しようとする姿勢は60歳を超えても変わらない。旧態然とした考えでは進歩がないと未来の歯科業界を見据える若林先生の目は力強く前向きだった。『オーラルケアクリニック青山』の内観。受付はホテルのコンシェルジュのよう。

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