Dentalism30号
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7 Dentalism 30 SPRING 2018です。そんな折に、小児科の著名な先生から「あながた小児科医として一流になる頃には、色んな感染症もなくなっているし、これからは誰も手をつけていない小児歯科をやった方がいい」と言われたのが小児歯科を目指す大きなきっかけになりました。ただ、当時の日本はむし歯の洪水と言われた時代で、大学病院では予約を取るのに2年間も待たなけれいけないというようなひどい状況でした。2年も経ったら、むし歯が進行するどころか歯がなくなってしまうぐらいです(笑) ひどい話ですがそれが当たり前の時代だったんです。治療に関しても根本解決ではなく、とりあえず痛みだけを取り除くという野戦病院的な感じで、歯科界自体がどうせ乳歯は生え変わるのだからそんなに治療する必要はないと思っていた時代だったんです。││そんな時代に開業されたんですね。当時はまだ小児歯科専門のクリニックはまだ少なかったのではないですか?佐野 35年前でしたが、北陸では初めての小児専門歯科でした。全国的にも珍しく、テレビ各局をはじめ多くのメディアに取材していただいたのを憶えています。そんな時代ですので、小児専門歯科ということがまだ全然通じませんでした。開業当初は日曜日に診療をして平日は小学校や保健所に行き、子どもたちや親御さんに乳歯の大切さをお話しする。まず小児歯科の大切さ、乳歯の大切さを地域に広めていく活動をしていました。当初は苦しかったですが、ちょうど乳歯を大切にしなければ永久歯に影響が出ると社会が気づき始めてきたこととリンクして徐々に軌道に乗り始めましたね。││「あすなろ王国」と呼ばれる現在のようなスタイルにしようと思ったのは?佐野 20年ぐらい前でしょうか、ロサンゼルスの小児歯科医院に見学に行ったのですが、歯科医は診察室をまわって患者をちょっと診るだけ。あとは歯科衛生士がブラッシングをしてクリーニングをしてフッ素塗布やシーラントをして終了。子どもたちはにこにこ笑っていて、カメラを向けても自信に満ちた表情を見せているんです。一方、自分の歯科医院では、子どもたちはみんな嫌な顔をして治療を受けて、とりあえずありがとうございましたとは言われますが、やっと解放されるというような顔で帰って行く。この違いは何なんだと悩みました。その結果、治療をしなければ子どもたちも痛い思いをしなくていい。大事なことは治すことではなく予防することで、みんながハッピーになれるんじゃないかと。それで日本に帰ってきて、徐々に予防へとシフトしていきました。ただ、予防の重要性を訴えたとしても、子供たちにここへ来てもらわなければ話がはじまりません。子どもたちが楽しみにして来れるように、「あすなろ王国」という物語を作って、そこに歯科医療を組み込んでみようと思ったんです。││物語を取り入れるとは斬新な発想ですね。そのストーリーを簡単に教えていただけますか?佐野 海のはるか向こうに小さな国があって、そこでは子どもたちが平和に暮らしていたんですが、あるとき突然空が真っ暗になりプラーク大王の手下のミュータンスたちがやってきて子供たちをさらっていってしまったんです。そして、どういうわけか一番泣き虫な女の子と一番弱虫な男の子だけが取り残されてしまった。その二人が仲間を救い出す旅に出るというストーリーを原点にしています。││このテーマパークのような内装はそのストーリーを基に考えられたのですか?佐野 そうです。ですから入口のところの部屋で子どもたちがブラッシングをしているでしょ。あそこがあすなろ村で、そこから子どもたちが旅立っていくという設定なんです。まずはあすなろ王国に入国して、あすなろ村でまず戦うための勇気を歯磨きで身につけるというわけです。││歯磨き自体をアトラクションにしているとは徹底していますね。佐野 それから2階の診療室に行くわけですが、子どもたちとしては仲間を救うために戦いに出ていくという気持ちです。スタッフの衣裳も物語に合わせて、お姫様のドレスだったり、魔女だったりと特別な格好にしています。スタッフも最初は戸惑っていましたが、子どもたちの笑顔を見るうちに意識が変わってきたようで、今ではスタッフの方が楽しんでますね。スタッフスタッフは業務に応じてドレスや魔女、メイドの衣裳を着用。中世の城のような内観。細部にまで趣向が凝らされている。魔法学校やプリンセススクールなど診療室以外の施設も充実。

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