Dentalism30号
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 東日本大震災から7年、そして熊本地震から2年が経過しました。人口減少と高齢化が進む被災地では、生活の再建とともに、多職種の医療人が地域の人々の健康を守るために力を尽くしています。 そのなかで、被災地宮城・石巻発「男の介護教室」が注目を集めています。介護者の三分の一を占め、その多くが孤立し苦境に立たされている男性介護者の支援のために4年前に始まりました。介護力向上、とりわけ一番の困り事の食事、「食べる支援」を柱に、気兼ねなく相談し悩みを語り合える場をめざしています。 この教室を熊本でも開きたい。ふるさと南阿蘇村で熊本地震を経験した歯科衛生士の村本奈穂さんは思いました。きっかけは、熊本地震の支援に尽力し、彼女に応援メッセージを送った「東北の歯医者さん」石巻・雄勝歯科診療所の河瀬聡一朗先生(40)との出逢いにありました。 「河瀬先生が発信されていることと私が熊本地震で経験し、地域の避難所や仮設住宅、高齢者施設を訪問して伺った話や感じていたことが、先生が始められた『男の介護教室』とリンクし、いつか熊本でも、と思ったのです」。 男性介護者のストレスを軽減し同じ境遇にある男性同士が集まる機会と食べる楽しみの機会を東北と熊本の被災地の絆で作れないものか。村本さんの情熱が、「あやの里」の岡元奈央さんとの出逢いに繋がり、彼女が運営している認知症カフェ「as a cafe」で「男の介護教室」が実現したのです。 1月中旬、集まった40人の参加者は、調理術「パッククッキング」や口腔機能を学び、日頃の悩みを語りあう有意義な3時間を共有しました。 「やってよかった。またやりたい。皆さんそう感じたと思います。この教室が全国各地で開催されたらいいなあと思います」と村本さん。被災地から生まれた絆の輪は、今着実に広がり始めています。あなたの地域でもいかがですか。震災が結んだ絆 「男の介護教室」文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp発行人/寺西秀樹編集人/長田英一発行所/株式会社 金沢倶楽部〒100-0006東京都千代田区有楽町2-10-1  東京交通会館6階 LEAGUE有楽町TEL 03-6268-0718FAX 03-6268-0717■編集後記男の介護教室「宗家」の河瀬聡一朗先生と講演菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第29号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介します。「注目の歯科医師で紹介されていた広島大学大学院の二川浩樹教授のインタビューを読ませていただきました。口腔内細菌からのアプローチで口腔環境の改善を目指されている二川先生の考え方は非常に参考になりました。今度、L8020乳酸菌を使ったヨーグルトやマウスウォッシュやタブレットを試してみたいと思います」 東京都 M歯科医院様腸内フローラ同様にプロバイオティクス作用でオーラルフローラのバランスをコントロールできないかとの考えをもとに研究を続けられている二川教授。食べることで口腔環境を改善していくという観点はこれまであまりありませんでした。日々の口腔ケアに加え、食べてう蝕や歯周病を予防することができれば未病にもつながりますね。「悠翔会の佐々木淳先生の記事を拝見しました。これまで経験したことのない超高齢化社会を前に、改めて在宅医療の大切さを感じました。そして、私たち歯科が何をしていけばよいのか、考えさせられます」 神奈川県 H歯科医院様佐々木先生も言われている通り、日本の人口構造自体が大きく変化しており、医科も歯科もこれまでのやり方を大きく変えていかなければならない状況です。在宅医療に関しては、今号でも長尾クリニックの長尾和宏先生のインタビューを掲載しています。外来と在宅の両方を手掛ける長尾先生ならではの内容となっています。No. 30 SPRING 2018 Dentalism 30 SPRING 2018 36「歯科医院のハンドピースの使い回しの記事を読みました。安心・安全な歯科医療を提供するのは私たちの最低限の責務だと思っています。歯科業界の信頼を損なわないためにもしっかりやらなければいけませんね」 大阪府 N歯科医院様なかなか改善されないこの問題ですが、平成30年度の歯科診療報酬改定で院内感染対策施設の届出が新設されました。費用の問題などもありますが、早急に改善していかなければいけないことは確かだと思います。「過去の『デンタリズム』を見るにはどうすればよろしいでしょうか?」 大阪府 S歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。その他にも多くの皆様よりメールやお電話などでお問い合わせやご要望をいただきました。本当にありがとうございました。なお、『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力の相談につきましても随時受け付けております。お電話又はホームページの問い合わせフォームよりご連絡下さい。「あやの里」の岡元奈央さん(右)と一緒に挨拶をした

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