Dentalism30号
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――歯髄幹細胞の再生医療を研究し始めたきっかけは何ですか?中島 まずは、根底に従来の歯根治療法の問題点がありまして、それを解決できる方法はないのかと考えたのがきっかけです。通常、歯髄炎が進行すると、抜髄した根管の中に人工充填物を入れて対応することが多いと思いますが、根管治療は根管の完全除菌が必須となります。リーマーにより根管壁を削って菌を除去、残った菌に対して根管内に水酸化カルシウム製剤などを貼薬し、症状がなくなるまで薬を詰め替えながら待つのが一般的です。しかしながら、根管形態が非常に複雑なため、象牙細管に入り込んだ菌は除菌が非常に困難です。抜髄後に人工充填物を詰めたとしても、どうしても隙間が出来てしまい、口腔内から細菌が再び根管に入り込んでしまいます。そういった菌が再び増殖し、20年ぐらいすると再度、感染根管治療が必要となる人が多いのが現状です。しかも一度そうなってしまうと、良くなってもまた膿がたまってまた治療するという繰り返しになることが多く、治療を断念して抜歯に至るケースが多いん歯髄幹細胞による歯髄再生。歯髄再生の革新的技術とは。 これまでデンタリズムでも何度と取り上げてきた歯髄幹細胞による歯髄再生医療。注目度がますます高まる中、実際の臨床研究の現場はどうなっているのか。日本で唯一、歯髄幹細胞による歯髄再生の臨床研究を行った国立長寿医療研究センター 幹細胞再生医療研究部の中島美砂子部長に最新情報と実用化までの道のりをお聞きした。国立長寿医療研究センター 幹細胞再生医療研究部部長中島 美砂子Misako NakashimaProle 1988年九州大学大学院歯学研究科卒業。2005年より国立長寿医療研究センターにて、歯の保存・延命化を目指す革新的歯科医療の開発研究に従事。歯髄幹細胞を用いた再生医療の最先端を担い、実用化に向けて臨床研究を進めている。 Dentalism 30 SPRING 2018 16

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