Dentalism30号
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Dentalism 30 SPRING 2018 8が本当に楽しいから子どもたちも楽しい。それが演技だったら何にも伝わらないですから。││言うのは簡単ですけどなかなか難しいことだと思います。逆にこういう環境だからこそ自然にできるというのはあるかもしれませんね。佐野 それは意図的です。独学で行動科学を勉強していまして、同じ人間でもおかれた環境によって行動が変わってくるんです。それから児童心理学の面からも環境はすごく大切ですね。││歯科診療の他にも演奏会やマジックショーなど開催されているそうですが?佐野 以前は診療だけしていたのですが、予防には教育も必要との考えで様々な取り組みをしています。小学生向けに、月曜は物理、火曜は数学、水曜は生物、木曜は哲学、金曜は美術と、全て専門の先生を招いて授業をしています。ただ普通の内容ではなく、例えば数学ですと、1から9までの数字を全部並べ、足し算と引き算を組み合わせてどうすれば100にできるのかなど、学校の授業ではやらないような内容ですね。その他にも、音楽家を招いてピアノやバイオリン、チェロなどの演奏を聞かせたり、演劇を見せたり、マジックショーを開催したり、子どもにとってプラスになることなら何でもという感じです。Educationという言葉は日本では教育と訳しますが、ラテン語の原語では「知らしめる」という意味です。色んな環境の中で子どもたちが何に興味を持つか。扉を開けてあげることが本当のEducationだと思います。││それらは歯科治療を受診しに来なくても享受することができるのですか?佐野 子どもたち向けに会員証を作っておりまして、それを提示すれば自由に施設内を利用することができますし、授業も受けることが出来ます。私は、歯科医院というとどこか社会に対してクローズしているというイメージがありまして、そうではなくて社会に対してオープンにしていこうと。それに予防歯科の場合は、歯が痛くなったら来院するというのはなく、日常的に利用してもらわないと意味がありません。来院を習慣づけるためには、歯科医院が痛くもないし怖くもない、楽しい場所として認識してもらう。子どもたちが自主的に行きたいと思うようなところでないといけないと思います。それから自宅でのセルフケアで、ああしなさいこうしなさいというのはあまり言いません。食後に10分以上歯を磨きなさいと言ってもなかなか難しいですし、甘いものを食べるなといっても難しい。それよりも1ヶ月に1回来院してしっかり歯のクリーニングをする。そういった中で、少しずつ自分の行動を変えていけばよいという考え方です。その方がお母さんも楽じゃないですか。無理して自分の習慣を変えるのではなく習慣として当たり前にやっていくことが大切だと思います。││特に小児歯科ですと、その子どもの歯との向き合い方を決める時期にあたりますものね。佐野 そうです、大切な時期です。それに小児歯科と一般歯科とではやることも違いますし、考え方のベースが全然違います。大人は成長という変化がないですが、子どもには成長・発育があるので、先を読んで今何をしておかなければいけないかを考えなければいけません。今が完成ではなく、今後のステップの始まりなんです。口腔環境の悪化は全身の病気につながります。歯を治すと言っても完全に元通りになることはありません。ということは名医に治しても
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