Dentalism29号
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 奈良県橿原市にある『さわやか歯科』。ここでは毎日のように「奇跡」がおきています。全く口を開けてくれなかったソトス症候群のりんちゃん、椅子に全く座ることが出来なかったADHDのしょうちゃん、口が開きっぱなしのダウン症のけんちゃん、だいたい2回目くらいで座り、口を開けて半年もするとお口ポカーンが閉じられるようになってゆくのです。 二年前、13年続けた自分の医院を閉じて『さわやか歯科』に合流した小児歯科医の吉田美香さんがいます。彼女は「妊婦さんからの歯科医療を」を目指して平成12年に開業。「生まれる前からこの世を去るまでの歯科をも視野に入れた歯科医療をやるうちに、『さわやか歯科』の北村義久先生に出会いました」。 高齢者やターミナルや障害者の治療をしながらも子どもたちに同じような思いを抱いていた北村院長とともに、彼女は妊婦と赤ちゃんと障害児も含め子どもたちに集中しようと、『さわやか歯科』に合流したのです。 『さわやか歯科』には全スタッフの願いが込められた「勇気のトンネル」があります。勇気のトンネルを通るためには魔法が必要で、『君に勇気があればこのビー玉に何かが起きるよ!』。子どもたちは蓄光型の「勇気のビー玉」を持ち七色に光る勇気のトンネルを通ります。勇気のトンネルの中にはブラックライトが仕組まれていて、勇気のビー玉は黄緑色の神秘的な光で小さな手を通して勇気をもらう仕組みです。 「そしてここから私たち小児歯科医の真剣勝負が始まるのです。子どもたちの小さな勇気を『さわやか歯科』全員の勇気で支えて行くのです」。 『さわやか歯科』では、むし歯・歯肉炎・歯周病・不正咬合・顎関節症・睡眠時無呼吸症候群などに、呼吸をベースに睡眠を整えながら関わっています。 「子どもたちは本来主体的な生き物だと思います。このような取り組みのなかで子どもたちは自ら居場所をみつけ、自立し主体的に生きていく可能性を上げてゆき、そしてこの世から去るまで主体的に生きられるのではと思います。歯科が変われば、子どもたちも、大人たちも、未来も変わる。私たちはそう考えています」。歯科は子どもたちを救えるか? (奇跡を起こす勇気のトンネル)文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp発行人/寺西秀樹編集人/丹羽麻理発行所/株式会社 金沢倶楽部〒100-0006東京都千代田区有楽町2-10-1  東京交通会館6階 LEAGUE有楽町TEL 03-6268-0718FAX 03-6268-0717■編集後記中央が吉田さん。左が北村氏。研究会「ネコの会」の懇親会で『さわやか歯科』の「勇気のトンネル」菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第28号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介します。「歯髄細胞の再生医療について愛知学院大学の本田教授のインタビューを拝見しました。再生医療は医科、歯科かかわらず最近注目されており興味深い内容でした。セミナーも開催されるということなので、機会があれば受講してみたいと思います」 愛知県 Y歯科医院様『デンタリズム』でも歯髄細胞を使用した再生医療には注目しております。今号でも日本歯科大学の「歯の細胞バンク外来」をご紹介しましたが、まずは認知されることが大切だと思います。歯を抜かずに自分の歯で一生涯噛めるようになれば、その他の全身疾患も防ぐことが出来るかもしれません。歯の重要性を再認識するきっかけになるのではないかと思っています。「歯周病菌がアルツハイマー病に関与しているとの記事を読みました。口腔環境が悪化すると食べることや噛むことにも影響してくると思いますので、アルツハイマー病にも当然影響してくるかと思います。研究が進んで治療法が見つかるといいですね」 福岡県 S歯科医院様現在、アルツハイマー病は治療が非常に困難と言われています。超高齢化社会を迎える日本において歯科アプローチでの治療法の確立が期待されます。「加藤典さんが紹介されているページを見ました。同じ歯科衛生士として、歯科治療において患者さんの意識を変えることの大切No. 29 WINTER 2017 Dentalism 29 WINTER 2017 32さを感じています。「輝く女性に逢いに行く」ページを毎回楽しみにしています。今後も素敵な女性を紹介して下さい」 東京都 F歯科医院様今号で紹介させていただいた『ナグモ歯科赤坂クリニック』の佐藤由紀子先生も、患者さん自身が積極的に口腔ケアに取り組むことの大切さを語られておりました。国民の歯に対する意識を変えることは歯科全体の課題でもあると思います。「過去の『デンタリズム』を見るにはどうすればよろしいでしょうか?」 京都府 K歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。その他にも多くのお問い合わせやご要望をいただきました。本当にありがとうございました。なお、『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力の相談につきましても随時受け付けております。お電話又はホームページの問い合わせフォームよりご連絡下さい。

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