Dentalism29号
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21 Dentalism 29 WINTER 2017 歯髄細胞を用いた再生医療に注目が集まる中、日本歯科大学附属病院、日本歯科大学新潟病院に全国初の「歯の細胞バンク外来」が開設された。日本歯科大学は2015年に「歯の細胞バンク」を立ち上げており、外来の開設で同事業をさらに推進していくという。 「歯の細胞バンク」は乳歯や第三大臼歯、矯正治療に伴う抜去歯などから取り出した歯髄細胞を専用の細胞培養加工施設で培養。液体窒素で凍結して半永久的に保管し、将来、歯髄細胞を用いた再生医療が必要になった際に、保管していた歯髄細胞を提供するというもの。初年度費用として5万円、2年目以降は保管料として年間2万円がかかる。 「歯の細胞バンク外来」では、「歯の細胞バンク」の説明や希望者への同意書などの手続きから抜歯、細胞培養加工施設に送り届け 歯周病の中でも急速型で、糖尿病などの全身性疾患の既往がなく早期に発症し生活の質を著しく低下させる侵襲性歯周炎。家系内での発症があるという特徴から遺伝要因の関与が示唆されており、これまで候補遺伝子アプローチによる遺伝学的研究が行われてきたが、原因遺伝子の同定には至っていなかった。 そんな中、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 疾患多様性遺伝学分野の田中敏博教授、歯周学分野の和泉雄一教授らの研究グループは、日本人の侵襲性歯周炎のエクソームシークエンシングにより、NOD2遺伝子の変異を同定した。研究グループは、侵襲性歯周炎罹患者99人の中から侵襲性歯周炎罹患者を含む2家系(罹患者5名、非罹患者1名)のエクソーム解析を実施。絞られた候補遺伝子の変異を確認したところ、2家系の罹患者全員にNOD2遺伝子のミスセンス変異が同定されたという。さらに、残りの94人におけるNOD2領域の変異の有無を検討するためにターゲットリシークエンス解析を行ったところ、新たな変異が3箇所(計5箇所)同定された。 NOD2は自然免疫に重要な細胞質内受容体で、グラム陽性菌と陰性菌の構成要素であるMDPを認識して炎症シグナルを惹起することが知られている。また、クローン病などの炎症性腸疾患の原因遺伝子としても報告されており、細菌感染症全般の原因解明にもつながると考えられている。今後、NOD2変異が侵襲性歯周炎の病態に与える影響をさらに明らかにしていくことで新規治療法や診断法の開発にも期待がかかる。侵襲性歯周炎の原因遺伝子を同定。新規治療法や診断法の開発へ。東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科歯周病学分野 和泉雄一教授(中央)、疾患多様性遺伝学分野 田中敏博教(右)、須藤毅顕大学院生全国初、歯の細胞バンク外来が開設。歯髄細胞を使った再生医療に弾み。顕微鏡で歯髄幹細胞を観察する日本歯科大学の中原貴教授(手前)と石川博客員教授。http://www.ndu.ac.jp/cell-bank/「歯の細胞バンク外来」では、抜歯後、搬送用の処理を行い施設に送り届ける。るまでを行う。難抜歯症例や全身疾患などの有病者への対応、大学病院の安心感などもあり問い合わせが増えているという。日本歯科大学以外でも、同バンクの講習を受講して認定された全国の歯科医師が窓口となり登録が可能。認定医は1000名を超える勢いで、歯髄細胞再生医療の認知も広まってきている。
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