Dentalism29号
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社会保険診療報酬支払基金のレセプト審査、AIを活用して9割をコンピュータで処理へ。 厚生労働省は社会保険診療報酬支払基金と連名で、「支払基金業務効率化・高度化計画」を発表。報酬支払いの審査においてAIを活用し、2022年度までにレセプト全体の9割程度をコンピュータでの審査完結を目指すとしている。さらに、コンピュータチェックで審査が完結できなかった場合でも、支払基金が雇用する医師・看護師などの医療専門職を中心とした職員による対応で済ませ、審査委員会による審査は全体の1%以下におさえていくという。 これまでのレセプト審査におけるコンピュータチェックは、審査委員による人的な審査の前捌きとして行われてきた。しかし、年間約800億円にものぼるという支払基金の運営費用、都道府県ごとにばらつきがある支払いルールの統一などの問題点があり、支払いに至るまでの業務プロセスの見直しを行い、それにかかる人員を800人程度減らすということだ。経費の削減、業務の効率化、レセプト審査の地域間格差が是正される可能性がある一方で、画一的な審査になりすぎることも懸念されており、医療関係者の意見も賛否分かれている。■電子レセプト請求普及状況(施設数ベース)平成27年5月請求分オンライン電子レセプト 89.5%オンライン 53.0%総 計歯 科薬 局医 院病院電子媒体 36.5%紙レセプト10.5%電子媒体紙96.1%83.2%12.4%400床以上400床未満病院計0.9万件診療所 8.8万件医科計 9.7万件7.2万件5.7万件50%100%普及率90.3%58.5%89.5%99.4%99.4%99.6% Dentalism 29 WINTER 2017 20■妊娠してから、 虫歯になったり、 歯周病になったり したことがある■妊娠中に歯医者に 行くことに不安を 感じる■妊娠中に 歯科治療を 受けたか■どのような治療をしたかはい38.2%はい47.4%はい44.7%いいえ61.8%いいえ52.6%0%20%40%60%80%79.6%60.8%3.5%1.8%1.8%8.0%定期検診(歯石・歯垢除去)虫歯の治療抜歯矯正外科的な処置その他いいえ55.3%ベビカム http://www.babycome.ne.jp/妊娠時の口腔ケアや歯科診療に注目。むし歯や歯周病になった妊婦は約4割。 妊娠・出産・育児サイト「ベビカム」のインターネット調査によると、妊娠してからむし歯や歯周病に罹患した人が38・2%にものぼることがわかった。また妊産婦歯科健診については、66・7%の人が「受けた」と回答。多くの自治体で無料実施されているためか受診率は高めになっている。また、妊娠中に歯科医院に行くことに不安を感じるかとの問いに、約半数の人が「はい」と回答した。さらに、妊娠中に歯科治療を受けたかどうかについては、44・7%と半数近くの人が受診。歯石や歯垢除去などの定期健診が79・6%、むし歯の治療が60・8%と上位を占めた。 歯科治療を受けた時期は、妊娠5〜8カ月が多く、ほとんどの人は安定期に入ってから治療を受けている。妊娠中の歯科治療で困ったことや悩みなどを聞いたところ、初期はつわりのために口の中に器具を入れられるのが辛く、後期は治療のために仰向けになるが辛いという意見が多かったそう。 妊娠中は女性ホルモンの分泌量が増加したり、唾液の分泌量が減少すると言われている。女性ホルモンは歯周病菌の繁殖を促進させ、唾液が減ることでむし歯になるリスクも高くなる。また、つわりが始まると嘔吐などにより口腔ケアがしづらくなり、歯科治療もままならない。 日々のメンテナンスはもちろん、妊婦のむし歯や歯周病に関する正しい知識を発信していくことが必要であり、不安や不満の解消などケアの充実も大切だろう。

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