Dentalism 28号
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 6月に発表された平成28年の「歯科疾患実態調査」によると、「8020」達成者が5割を超えるなどむし歯が大きく減少しているのとは対照的に、前回平成23年の調査で「成人の8割が罹患」しているとされた歯周病が、今回は全ての世代で悪化し、罹患率は95%以上にのぼることがわかりました。なかでも働き盛りの35〜44歳では4ミリ以上の歯周ポケットを有する人が18・3%も増加しているなど、さらに深刻化しています。 横浜市保土ヶ谷区の荒井歯科医院。院長の荒井法行先生(55歳)は地域のかかりつけ医として幅広い診療ニーズに応えながら、歯周病専門医として30年間挑み続けています。 「歯周病は、その怖さが知られてきたとはいえ『サイレントディズィーズ』で、状態を理解して予防やケアに取り組んでいただくには格段の努力が必要です」と荒井院長。歯周病専門医である院長とともに8人の歯科衛生士のうち3人が全国で1027人しかいない歯周病学会認定の歯科衛生士で、プロフェッショナルによる診療体制を整えています。 衛生士は30年前から担当制で、7台のユニットのうち5台がメンテナンス専用。現在1日100人を超える来院者の約7割が予防と定期メンテナンスの患者さんです。 「荒井先生に歯を守ってもらいました。先生が大学病院の時代から30年通っている」「どこへ行っても抜歯と言われた歯を守り抜いていただきました」と、院長を恩人として慕い、長期間通っている患者さんもたくさんいます。 歯周病は2001年にギネスブックが「世界でもっとも多い感染症」と登録し「地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない」とした「世界病」。FDI(世界歯科連盟)は8月31日の「世界口腔保健フォーラム」を機に、歯周疾患予防に関する3年間の戦略的啓発活動「GPHP」をスタートさせました。 歯周病を撲滅するには、荒井歯科医院のような専門家集団の活躍とともに、「歯科へ行こう」と受診行動を喚起する国家的な取り組みが求められています。ギネス登録「世界病」に挑んで30年 文・菊池恩恵[デンタリズム]http://www.dentalism.jp発行人/寺西秀樹編集人/丹羽麻理発行所/株式会社 金沢倶楽部〒100-0006東京都千代田区有楽町2-10-1  東京交通会館6階 LEAGUE有楽町TEL 03-6268-0718FAX 03-6268-0717■編集後記荒井先生。歯周病専門医として30年「世界病」に挑んできた荒井先生とともに3人の認定歯科衛生士が活躍している菊池恩恵(きくち・めぐみ)1953年岩手県出身。歯科医院の経営を支援する株式会社コムネット代表。http://comnt.co.jp/歯科業界のコミュニケーションマガジン『Dentalism(デンタリズム)』は、第27号も多くの皆様から反響をいただきました。その中の一部をご紹介いたします。「歯髄細胞の再生医療が紹介されていたページを拝見しました。まだまだ先のことかと思っていましたが、実用化はすぐ近くまで来ているのですね。歯科医療も私たちの時代とは全く違った時代になりそうですね。改めて、日々勉強の大切さを感じました」 大阪府 S歯科医院様おっしゃる通り、歯科医療、医療は驚くほどのスピードで進歩していると感じます。歯髄細胞の再生医療が全身の様々な疾患に効果的となれば、歯科の大切さが見直されることでしょう。そして医科歯科連携も進むと思われます。今号でも愛知学院大学の本田雅規先生のインタビューを掲載しておりますが、今後も歯髄細胞の再生医療の新たな動きに注目して参りたいと思います。「注目の歯科医師や輝く女性に会いたいなどのコーナーを楽しみにしています。先生方のお仕事ぶりに刺激を受けますし、自分と違う考え方を知ることは勉強になりますね。毎号感心しております」 埼玉県 F歯科医院様まだまだ全国には各分野でご活躍されている歯科医師や歯科衛生士の方が多くいらっしゃいます。一人でも多くの方をご紹介していきますのでお楽しみくださいませ。「歯科国家試験の記事を見ました。今の時代の学生さんは大変ですね。現在は、歯科医院が多すぎるということを言われますが、団塊世代の歯科医師が引退していけば、10No. 28 AUTUMN 2017 Dentalism 28 AUTUMN 2017 32年後なのか20年後なのか、歯科医師数が足りなくなくなる時代がくるのではないかと思うのは私だけでしょうか」 福岡県 U歯科医院様近年の歯科医師国家試験のあり方については、様々な意見があると思います。一概に何が良い悪いとは言い切れませんが、受験生にとって厳しい状況であることは間違いないのではないでしょうか。「『デンタリズム』のバックナンバーを見たいと思っているのですが、どうすればよろしいでしょうか」 神奈川県 M歯科医院様バックナンバーの配布は行っておりませんが、ホームページ(http://www.dentalism.jp/)上でデジタルブックをアップしております。そちらで内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。『デンタリズム』では、取材依頼や告知協力をしてほしいというご相談につきましても随時受け付けております。お電話またはホームページの問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。また、今号も多くの皆様よりお問い合わせやご要望をいただきました。本当にありがとうございました。

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