Dentalism 28号
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21 Dentalism 28 AUTUMN 2017治療中の頬粘膜損傷の不安感を軽減。新発想の歯科用マウスピースが登場。 歯科治療で用いる器具のほとんどは鋭く尖っていたり冷たかったり、患者は案外不安なもの。歯科医師にとっても、ドリルなどの器具を用いる治療では、容易に切創を与える危険性があり、緊張が絶えない。また、頬の内側の粘膜を器具で抑えながら作業しなければいけない場合、一人での処置が難しいこともある。 そんな頬粘膜損傷を防止する製品のニーズを受け、鳥取大学医学部附属病院と金型設計製造の『ケイケイ』が、頬の内外を挟んで使う歯科用マウスピース「オーラルシェル」を共同開発した。エラストマーという合成ゴムを貝のように形成したもので、頬を挟むように装着。頬の内側を面で保護するので、鋭利な器具で治療する場合も、歯科医師、患者ともに不安感がない。患者の頬の厚みに合わせて調整できたり、口腔にフィットしやすい柔らかさで使い勝手も良い。消毒液への耐性もあり、繰り返し10回程度使用することが可能だ。 鳥取大学医学部附属病院の中力直樹診療支援技術部副部長を中心とした開発チームにより複数の歯科医師に試作品を供覧してアンケート調査を行ったところ、「頬粘膜損傷の問題は歯科医師にとっても昔から問題だった」、「小児は治療中に不意に動くことが多いので、小児用も欲しい」、「歯周外科治療はもちろん、インプラント埋入術、補綴物除去、支台歯形成でも役立つ」と好評なコメントが多数。歯科医師はもちろん、患者がともに安心して歯科治療を受けられることが大切。「オーラルシェル」をはじめ、今後の商品開発にも期待したい。オーラルシェル(2個入り) 1,850円(税別)問い合わせ/フロンティアデンタル蘂03-6240-6158CiメディカルNo.129 P372にて販売中記者会見で説明する鳥取大学医学部附属病院の中力直樹診療支援技術部副部長。身長が低い人ほど歯の本数が少ない!?男性のみに表れた不思議な関連性。 身長とう蝕との関連を調べた海外の研究では、身長の低い人ほど乳歯や永久歯のう蝕になるリスクが高いことが報告されている。食生活の乱れや不良な栄養状態が低身長やう蝕のリスクを高めるためだとのこと。さらに、低栄養状態は唾液の量や質を変化させ、う蝕への感受性を高めるとも考えられている。また、低身長の人ほど歯周病のリスクが高いとの報告もあり、感染を起こしやすい人は慢性的な炎症によって身体の成長が停滞しやすく、感染症である歯周病にも罹患しやすいからだという。 日本においては、これまで身長と歯の状況との関連を調べた研究はなかったが、東京医科歯科大学と国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループが身長の低い人ほど歯の本数が少ないという研究結果を発表した。調査対象となったのは、秋田県在住で歯科検診を受けた男女1214人。歯科健診では、残っている永久歯の本数、歯の清掃の状態など、口の健康について調べた。その結果、男性において最も身長の低いグループでは身長の高いグループに比べて2・4本歯が少なく、前歯と奥歯でそれぞれ約1本ずつ少ない結果となった。また、男性において自分の歯が24本未満となるリスクは統計学的に有意な差は出なかったものの、身長が低いグループほど高くなる傾向にあったという。しかし、男性と違い女性は身長と歯の本数との関連はみられなかった。研究グループはその理由を不明としながらも、「妊娠、出産や女性ホルモンの変化などの女性特有の要因が口の健康に影響を及ぼすこと、女性では保健の知識や保健に関する行動などが男性に比べて良好なことなどが関係しているのかもしれない」としている。■身長と歯の本数の関連211815129630Q1Q2Q3Q4Q59.49.810.110.510.88.79.59.09.89.718.119.319.120.320.5前歯    奥歯前歯    奥歯歯身長男性211815129630Q1Q2Q3Q4Q59.49.18.88.09.29.19.28.78.39.418.518.317.516.318.6歯身長女性

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