Dentalism 28号
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これまでの様々な研究で、残存歯が多いと死亡率が低くなったり要介護になりにくいことは発表されてきた。しかし、要介護でいる期間との関連は不明だった。東北大学大学院歯学研究科の松山祐輔歯科医師は、自分の歯が多く保たれている高齢者は、健康寿命が長いだけでなく要介護でいる期間が短かいとの研究結果を発表した。 松山氏は全国の24自治体の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を3年間追跡したデータを分析。要介護になる前の歯の本数と寿命、健康寿命(日常生活に制限のない期間)、要介護でいる期間との関連を調査した。分析の結果、最も違いが表れた85歳以上で、歯が20本以上ある人は0本の人に比べて、寿命が男性でプラス57日、女性でプラス15日、健康寿命が男性でプラス92日、女性で70日、要介護でいる期間が男性でマイナス35日、女性でマイナス55日という結果になった。 厚生労働省が発表した「2016年歯科疾患実態調査」によると、80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が推計で51・2%にのぼり、初めて2人に1人以上に到達した。これは「8020運動」の成果だろう。歯や口腔の健康は、QOLの保持に欠かすことのできない要素であり、歯科の重要性がますます高まっている。歯の健康が健康寿命の延伸に加え、要介護でいる期間の短縮に寄与。19 Dentalism 28 AUTUMN 2017AIを用いたCADプログラムを開発。1歯あたり約20秒で補綴物をデザイン。 歯科技工物製作のデジタル化が進み、CAD/CAMが急速に普及している。それによりこれまでの手作業での製作より大幅に労力が軽減されるようにになってきた。そんな中、さらに便利な義歯設計プログラムが登場しそうだ。開発したのは訪問歯科診療支援事業を全国で展開する『デンタルサポート』。歯の形状や大きさは患者個々により異なり、単一のパターンを当てはめることはできない。そこで同社は、AI(人工知能)に1万パターンの症例を学習させ、歯科用CADに自動出力するプログラムを開発した。 これまでのCAD/CAMでは、歯科技工士が患者の口腔内のデータをもとに、画面を見ながらCADでデザインしていたため、義歯1本あたりのデザインに約15分程度の時間がかかっていた。しかしこの新たなプログラムでは、クラウド上のAIに患者の歯型データを送るだけで義歯のデザインができるため、作業時間を大幅に短縮することが可能になる。 同社によると1本20秒程度でデザインできるとのこと。現在、実用システムの本開発を行っており今秋に完成予定だ(特許出願中)。ますますデジタル化が進む歯科技工。歯科技工所はもちろん、歯科医院のスタッフ、使用する側が理解を深めることも大切になってくるだろう。歯をデザインする過程におけるメッシュ構造図。1万パターンの症例を学習患者固有の歯科技工物を1歯20秒程度でデザイン大幅な作業時間の短縮が可能東北大学大学院歯学研究科松山祐輔 歯科医師■歯の本数と寿命・健康寿命・要介護でいる期間の関連135013001250120020本以上10-19本1-19本0本●年齢、入れ歯の使用、教育年数、所得、既住歴、主観的健康感、 転倒経験、喫煙、飲酒、歩行時間、BMI、うつの影響は統計モデル により調整した●65-69歳、75ー79歳、85歳以上での推定値の平均を示した健康寿命要介護度2以上でいる期間追跡日数追跡日数歯の本数男性135013001250120020本以上10-19本1-19本0本歯の本数女性
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