Dentalism 28号
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17 Dentalism 28 AUTUMN 2017 糖尿病と口腔環境との関連の研究が進んでいるが、金沢医科大学糖尿病・内分泌内科学講師の小西一典氏らの研究グループから糖尿病患者は無歯顎の頻度が健常者に比べ4倍以上にのぼるという研究結果が発表された。研究グループは、2016年に糖尿病患者の歯周病重症度が加齢や腎機能だけでなく心血管イベントの既往を予測する独立した予測因子であることを報告している。 今回追加エントリーされた症例から、糖尿病患者では無歯顎(総義歯)の頻度が高いことが見出されたため、この群がどのような臨床的特徴を有するのかを検討した。。対象は外来通院の糖尿病患者321症例(無歯糖尿病患者は健常者と比べ、無歯顎の頻度が4倍以上。顎70例、残存歯あり251例)。無歯顎70例の年齢は72・9±8・4歳で、無歯顎となった年齢は女性58・0±11・0歳、男性58・7±8・9歳で、60歳代までに無歯顎になった患者は20%にも及んだ。さらに無歯顎群では高血圧症と心血管イベント既往の頻度が有意に高頻度であった。 厚生労働省の「2011年歯科疾患実態調査」によると、国民全体での60歳代の無歯顎の割合は5%以下と報告されている。本研究においては単純計算で糖尿病患者は無歯顎の頻度が4倍以上ということになり、糖尿病と無歯顎の強い関連性が考えられる。 小西氏は「無歯顎の糖尿病患者は高リスク集団であると考えられます。内科医が歯科医と連携するのはもちろんですが、歯科医の先生方も比較的若年で重度歯周病もしくは無歯顎患者を診た場合、背後に糖尿病の存在がないかを疑っていただきたい」としている。 奥羽大薬学部の大島光宏教授らの研究グループは東大呼吸器内科、東京医科歯科大歯周病学分野、慶大理工学研究科、日大歯学部と共同で、歯肉から出る微量の組織液に含まれるマイクロRNA(遺伝子の働きを調整するリボ核酸)で歯周炎を高精度に診断できる技術を開発した。この研究はふくしま医療福祉機器開発事業費補助金を活用している。 これまで歯周炎の診断は、歯科医師が歯周ポケットの深さや歯肉の色、X線写真などを見て行っていた。大島教授らが開発した方法は、歯と歯茎の間に濾紙を挟み、組織液に含まれるマイクロRNAを採取。増幅させたマイクロRNAが高く現れたか低く現れたかをパネルを使って表し、歯周炎か否かを一目で判別できるというもの。 歯周炎検査法の内容は、健常な場合は赤色が高く発現し、緑色が低く発現する。歯周炎の場合はその逆となる。パネルを通して、調べた部位の歯周炎がどのぐらい進行しているのかを生物学的根拠に基づき客観的に判断することが可能ということ。歯周炎を一目で判断できる世界初の技術として、臨床現場での幅広い活用が期待されている。マイクロRNAに関しては、血液1滴で13種類のがんを早期発見する検査法が開発されるなど注目が集まっている。世界初、客観的に歯周炎の診断ができる技術を開発。歯周炎歯周炎歯肉溝滲出液採取中の写真(東京医科歯科大学歯周病学分野提供)■残存歯の有無によって分類した高血圧症、脂質 異常症および心血管イベント既往の頻度の比較806040200(%)p=0.034ありなし(無歯顎)高血圧症806040200(%)ありなし(無歯顎)脂質異常症残存歯806040200(%)p=0.019ありなし(無歯顎)心血管イベント奥羽大学薬学部大島光宏 教授金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学小西一典 講師健常健常マイクロRNAを採取しパネルで診断AさんのA部位AさんのB部位

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