Dentalism 28号
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15 Dentalism 28 AUTUMN 2017歯周病菌がアルツハイマー病に関与。歯科アプローチの新たな治療法確立へ。 高齢化社会に伴い、2025年には日本国内の認知症患者が700万人を超えると予想され、認知症関連で様々な研究が進められている。そんな中、九州大学大学院歯学研究院の武洲准教授と中西博教授らの研究グループが、歯周病とアルツハイマー病の発症・症状悪化との関係を裏付ける研究結果を発表した。 近年、歯周病のジンジバリス菌(Pg菌)の菌体成分リポ多糖(LPS)がアルツハイマー病患者の脳内で検出されるなど、重度歯周病の罹患と認知機能の低下との相関性が注目されている。Pg菌が脳炎症を引き起こし、認知症の悪化を招くと考えられているが、そのメカニズムは解明されていなかった。 今回、研究グループのマウスを使った実験で、Pg菌により誘発されるアルツハイマー様病態の原因酵素が、リリソーム酵素の「カテプシンB」だと判明。カテプシンB特異的阻害剤が発症や症状の悪化の抑制につながる可能性も示唆された。 アルツハイマー病については、現在でも治療が極めて困難で根本的な治療薬は未だ開発されていない。そんな中、アルツハイマー病の発症や進行を遅らせるための歯科治療からのアプローチを確立させることには大きな意義がある。医療において、より口腔ケアの重要性が高まってくるだろう。長時間のメディア利用、睡眠不足、朝食欠食の子供はむし歯になりやすい? テレビやゲーム、スマホなどのメディアを長時間利用する子供ほどむし歯が多い。そんな調査結果が富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門から発表された。調査は富山県高岡市内の5つの小学校に通う1年生から6年生までの全児童2109名を対象に実施。その結果、むし歯のある子供は全体の9・2%。1日のメディア利用時間が2時間未満の子供のむし歯の割合が8・6%であったのに対し4時間以上では15・4%と利用時間が長くなるほどむし歯の割合が高まった。 また、睡眠時間が9時間以上の子供のむし歯の割合が6・4%であったのに対して、8時間未満の睡眠では14・2%。さらに、毎日朝食を食べる子供のむし歯の割合が8・6%であったのに対してほとんど食べない子供では27・3%と、生活習慣とむし歯の関係が示された。 これらの原因として同大学は、自律神経の活動を介した唾液分泌の量や質の変化に一因があるのではないかということ。リラックスしている時は副交感神経活動が高くなり、サラサラの唾液が分泌され量も多くなる。一方、緊張しているときは交感神経活動が高くなり、ネバネバした唾液が分泌され量も少ない。長時間のメディア利用、睡眠不足、朝食の欠食による空腹ストレスがある状態は交感神経活動が高くなり、唾液分泌量が低下する可能性があるということだ。口腔ケアはもちろん、正しい生活習慣がむし歯予防に重要だということが改めて示されたといえる。■むし歯は、メディア利用時間が長い子供に多い6.05.04.03.02.01.00.01816141210864202時間未満1.08.62ー4時間1.09.84時間以上1.315.4オッズ比(リスク指標)むし歯の子供の割合(%)メディア利用時間■むし歯は、睡眠時間が短い子供に多い6.05.04.03.02.01.00.016141210864209時間以上1.06.48ー9時間1.58.58時間未満2.814.2オッズ比(リスク指標)むし歯の子供の割合(%)睡眠時間■むし歯は、朝食を欠食する子供に多い6.05.04.03.02.01.00.0302520151050毎日食べる1.08.6時々食べる1.916.2ほとんど食べない3.927.3オッズ比(リスク指標)むし歯の子供の割合(%)朝食を食べる頻度九州大学大学院歯学研究院武 洲 准教授■歯周病に伴うカテプシンBを介した炎症シグナルの増大と認知症の悪化歯周病カテプシンBカテプシンB老化型ミクログリアの活性化慢性全身性炎症他の臓器慢性脳炎症Aβ蓄積認知症の悪化

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