Dentalism 28号
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自分の歯で生涯食べられれば全身の健康も変わる。歯髄細胞を使った再生医療を研究、実用化を目指す。――歯髄細胞を研究し始めたきっかけは何だったんですか?本田 私は元々口腔外科医だったので親知らずを抜くことが多かったんです。その頃は、患者さんに「親知らずを持って帰りますか?」と聞いても捨てることがほとんどでした。それから、捨てるぐらいであれば歯髄を有効活用できないかと考え始めたんです。過去に整形外科系の共同研究として軟骨の再生の研究も行っておりましたので、歯の再生も出来るので先進医療として国が推進して研究を進めている再生医療。中でも採取しやすい歯髄細胞を使った再生医療に注目が集まっている。本田雅規教授は、口腔外科医としての経験を活かし、早くから歯髄細胞に着眼し再生医療に活用できないかと研究をしてきた。「歯科医としては目の前の患者を治すことを考えてきましたが、今は研究者として一つの発見で多くの人を救いたい」。歯髄細胞を使った再生医療の実用化まであと少し。取材・文/長田英一 撮影/松本恵奈(スタジオ モア)Special Interviewデンタリズム・スペシャル・インタビュー愛知学院大学歯学部口腔解剖学 教授本田雅規MASAKI HONDAはないかと。そんな折に、以前から研究の指導を受けていたアメリカの軟骨再生の研究チームが今度は歯の再生の研究をするということで加わったんです。2000年から1年間、アメリカで研究をしまして、日本に帰ってきてから歯髄の培養を始めました。――再生医療といえば昔から骨髄を利用した治療が行われていますが、歯髄細胞が研究されたのは比較的最近なのですね。Prole 本田雅規(ほんだ・まさき)1964年生まれ。愛知学院大学歯学部歯学科卒業。1989年、歯科医師免許取得。名古屋大学医学部附属病院の歯科口腔外科などで勤務。その後、医学博士として東京大学医学研究所、日本大学歯学部などで研究を重ねる。現在は、愛知学院大学歯学部口腔解剖学 教授。11 Dentalism 28 AUTUMN 2017

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