Dentalism 28号
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注目の歯科医師インタビューている人が多いですね。セミナーで習ったからこれをやるという人が多いですが、自分はこういうことをしたいからこのセミナーに参加するという考え方でないと意味がないと思います。自分のビジョンがあって、自分の歯科医院を取り巻く環境がある。その中で何が一番必要かを考えて勉強しなければならないですね。お金を使ってセミナーに参加して複雑な治療を習っても、それを求めている人がいなければ何もならないですから。自分の歯科医院の立地だったり患者層だったり、そういうことを意識していないと、せっかくのセミナーが無駄になることもあるということです。あとはレベルの問題。セミナーの講師はトップアスリートみたいなもので、今から走り方を覚えるような人が真似をしようと思っても難しい。わぁ凄いな、自分もやりたいなという気持ちはあってもいいと思いますけど、それを実践する覚悟があるかどうか。そのスキルを身につけるまで非常に努力が必要ですし、その努力を続けられずに中途半端なままで終わってしまうことも多いのではないでしょうか。││自分のビジョンや状況を理解してセミナーを受講していない人が多いということでしょうか?上田 そういう人は多いと思います。あとは、自分が習った治療や学会で勉強したことが本当に良いのか悪いのか、自分自身で統括しなければいけません。アメリカや日本の著名な先生がこうしましょうと言ったからといって、それに引っ張られすぎる人が多いですね。私はセミナーのときに「私が言ったからって、私の症例を見たからって、絶対にそのまま真似をしないでください」と言うんです。患者さんによって状況は全て異なりますし、治療する人の技術や知識の差もあります。そのときそのときの状況で、自分の力量と経験に基づいて最善の治療の方法を考え、選択しなければいけません。││ただセミナーを受けるだけでなく、自分にとってどういう意味があるのかを考えて参加しなければいけないということですね。上田 そうですね。セミナーを受けること自体が目的になってしまっては意味がないですから。ただ、外に出て色々な人と会うということは本当に大切だと思います。外に出ていかないと、いつの間にか井の中の蛙になってしまいますので。自分たちのスタディグループだけでなく他のグループの話も聞いたりして色々な情報を得ることが大切だと思いますし、必ずそれは自分の財産になると思います。歯科医院はあくまでサービス業で、売り物は歯科医療技術だと思います。売り物がなく接遇だけでやっていこうとしても、特に今の時代は無理ではないでしょうか。いかに自分の売り物を作るかが大切だと思います。現在、歯科医院の数は飽和状態と言われていますが、あと10年もすれば団塊世代の男性一人開業の歯科医院が廃業していき、必ず数は減っていくでしょう。そういう意味でも、若手の歯科医師の方たちに頑張っていただきたいですね。││今年の7月には、約9000人の会員がいる『日本顎咬合学会』の理事長にも就任されました。理事長として考えておられることはありますか? 上田 身に余る光栄で責任は重大ですが、国民の健口を守るべく学会ひいては歯科界の発展のために全力を尽くしたいと思っています。日本では少子高齢化が進み、65歳以上の人が人口の26%以上の割合を占めるまでになっています。最近よくオーラルフレイルという言葉を耳にすると思いますが、全身と口腔機能の関わりが注目されています。医科はもちろん様々な業種と連携し、この問題を改善していかなければいけません。現在の歯科界は9 Dentalism 28 AUTUMN 2017Prole 上田秀朗(うえだ・ひであき)1958年福岡県生まれ。1983年福岡歯科大学卒業後、勤務医を経て1987年福岡県北九州市小倉にて『うえだ歯科』を開業。日本顎咬合学会 理事長上田塾 主宰北九州歯学研究会 会員JACD元会長日本包括歯科臨床学会 前会長OJ元会長福岡歯科大学総合歯科学 臨床教授南カリフォルニア大学(USC)客員教授 うえだ歯科福岡県北九州市小倉北区香春口1-13-1メディックス三萩野2F 蘂093-922-6480医科との連携があったり、開業医と大学の連携があったり、スタディグループ同士の交流が活発に行われるようになったり、昔と比較して様々な垣根が取り払われてきたように思います。歯科界を取り巻く人たちが協力して業界全体を良くしていこうという雰囲気ができているのではないでしょうか。立場は関係なく全体が同じ方向を目指して未来ある明るい歯科界を構築していきたいと考えております。歯科界全体の将来を見据え、若手歯科医師の指導・育成にも力を入れている上田先生。これからの歯科界にとって何が大切かを考え常に前向きに行動する姿は、次世代の歯科医師たちに大きな影響を与えているに違いありません。患者数は1日30~40人。「患者を絶対に待たせない」がポリシー。

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