Dentalism 27号
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めております。3年以内には脊髄損傷や脳梗塞のほか歯科分野の実用化も進み、5、6年後には歯髄細胞を主原料とした細胞医薬品も誕生していると思います。対処的な上辺の治療ではなく、本質的に治していくというのが基本的な再生医療の考え方です。今までの医療をがらっと変えるような医療であると思っていますし、我々自身も大いに期待しているところです。││具体的に歯髄細胞をどうやって治療に利用するんですか?大友 まずは提携歯科クリニックで抜歯をしていただき、乳歯や親知らずを送っていただきます。弊社は山梨県と東京都江戸川区に厚労省の承認を受けた自社ラボ(特定培養加工施設)がありますので、そこで一定量まで細胞を培養した後、マイナス150度以下の液体窒素タンクで半永久的に保存します。歯髄細胞の保管には2種類ありまして、一つは、献血のように歯を寄付していただく「DPストック」。大学や製薬会社と連携して、歯髄細胞を使った医薬品の開発も進めているんですが、その原料として使用させていただきます。もう一つは、自分やご家族のために預ける「歯髄細胞バンク」。歯髄細胞は相当量を培養できま15 Dentalism 27 SUMMER 2017すので、将来もしものことがあった場合、1回の治療だけでなく複数の治療に利用することが可能です。「DPストック」は無料ですが、「歯髄細胞バンク」は有料で、最初の10年間で30万円、それ以降10年単位で12万円の登録料及び保管料がかかります。││どんな歯でも大丈夫ですか?大友 幹細胞は老化とともに減少していきますので、出来るだけ若くて健康な細胞が必要です。ですから「DPストック」では、乳歯か20歳以下の親知らずに限定させていただいております。ご本人やご家族のために利用する「歯髄細胞バンク」では、特に年齢制限は設けておりません。ただ、弊社に届けられた歯髄細胞の中でも、その2割は培養の過程で元気がなくなってしまうんです。いずれもむし歯などで炎症がひどく、幹細胞の働きが弱っているようでした。メンテナンスをしっかりされている方であれば、60歳ぐらいでも大丈夫な場合がありますよ。││そういう意味でも、これからは歯を大事にしていかなければならない世の中になっていきそうですね。これまでどれぐらいの方が保管しているのですか?大友 これまで1000人以上の方の歯髄細胞をお預かりしております。献血でもAとかBとか型がありますが、幹細胞にも型がありまして、その数は数万通りと言われています。これまでお預かりした歯髄細胞で、日本の全人口のうち76%の型をカバーできるようになりました。早く残りの24%を集めて、実用化を進めたいですね。現在、約1700件の歯科クリニックと提携させていただいておりますが、歯髄細胞の再生医療について認知を広め、さらに多くのご協力をいただけたらと考えております。 まだ先の話と思っていた歯髄細胞による再生医療だが、本格的な実現はすぐそこまで来ている。成功すれば国民の歯に対する重要度がさらに高くなり、歯科業界全体の存在感が上がることは間違いない。■歯髄細胞を用いた 再生医療の流れ①抜歯②抜去歯を郵送③細胞培養④細胞冷凍保管⑤再生医療■歯髄細胞による実用研究例神経疾患アルツハイマー病、脳梗塞脊髄損傷、脳性麻痺など抜歯歯髄採取細胞治療(注射や点滴など)培養抜歯歯科疾患歯周病、虫歯、骨欠損心臓疾患心筋梗塞、心筋症臓器疾患糖尿病、肝疾患、腎疾患その他眼科疾患、自己免疫疾患など7月22日(土)19:00~21:00Ciメディカル東京ショールーム(東京都中央区八重洲2-2-1 住友生命八重洲ビルB1F)7月30日(日)10:00~12:00Ciメディカル新大阪駅東口ショールーム(大阪府大阪市東淀川区東中島1-19-4 新大阪NLCビル1F)問い合わせ/Ciメディカル 東京ショールーム03-3242-0418 ※月曜・祝日は定休日Ciメディカルが「DPストック」「歯髄細胞バンク」の窓口に!講師愛知学院大学歯学部本田雅規教授プロフィール1989年、愛知学院大学歯学部を卒業。2015年に愛知学院大学歯学部口腔解剖学講座の教授に就任。歯髄細胞を利用した再生医療の研究を行っている。歯髄細胞バンクセミナーを開催~捨てないで乳歯と親知らず!「歯髄細胞は再生医療の大切な資源」~歯科再生医療の現状と展望歯髄細胞を活用した再生医療受講料無料
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