Dentalism 27号
15/36

13 Dentalism 27 SUMMER 2017Prole 岡﨑弘典(おかざき・ひろのり)1970年北海道生まれ横浜育ち。1995年鶴見大学歯学部卒業。弘進会宮田歯科 大崎診療所勤務。1999年昭和大学矯正学教室入局。2003年おかざき歯科クリニック開設。2007年(医)ナチュラルスペース設立。日本矯正歯科学会 会員東京矯正歯科学会 会員神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療 相談医がん患者歯科医療連携 登録医障害者歯科治療一次医療機関デンタルコンセプト21 会員村松歯科医院 矯正科 主任 岡﨑 2013年の10月ぐらいから記事を書き始めて、初めて記事を上げたのが12月。本格的なスタートは4月からで、5月には毎日記事をアップするようになり、その後、月にPV(ページビュー)が20〜30万単位で上がっていったのですが、まだ集客には結びついていませんでしたし、PVが100万になろうが200万になろうが、その凄さは実感できませんでした。 そうやって2年ぐらい経ったあたりからでしょうか、地元だけではなく埼玉や千葉からも患者さんがいらっしゃるようになり、初診数も月に100名を超えるまでになりました。対応しきれず、一度は初診受付を止めた時期もありました。PVが月に600万を超えた頃は、テレビで歯のことを取り上げるとアクセスが集中し、よくサーバーがダウンしました。――その後、どのように対策されたのでしょうか。今後の展開も含めて教えてください。岡﨑 自院で対応しきれない分は、僕が実際に会って納得し、信頼できる歯科医院を紹介することにしました。最も反響が高く出ているのは都内の歯科医院ですね。親知らず抜歯で紹介している『青葉歯科医院』などは、親知らず抜歯だけで月70人の来院があるようです。 また、少し前から企業からの問い合わせが増えてきています。ブログに広告を出したいという話や、歯科関連の新製品について考察が欲しいという話まで様々です。「まとめサイト」が問題になって以降、企業も広告先を検証するようになってきているようです。ようやくブログのほうで収益化の見通しがついてきたというところでしょうか。――コンテンツマーケティングを通して、医院運営上、変化したことなどはありますか。岡﨑 例えば、根管治療のためにマイクロを買い、使い方の講習会に参加するなど設備投資も行いました。世の中の治療ニーズが解り記事を書くからには、やはり自分も治療が出来なければならないですし、患者さんの求めに応えるためにも、常に勉強と研鑽は必要ですからね。治療に不安がある人や、歯で困りごとがある人はとても多いです。セカンドオピニオンを求めて来院される方もいますし、ブログには悩んでいる方からの相談や質問も寄せられます。 人々が何を欲していて、自分が提供しているものと一致しているのかどうか、歯科医師はもっと考えていく必要があるように感じています。――今後、新たに取り組んでいきたいことは?岡﨑 最先端の歯科医療でなくても、歯科の総合医として治療全般でレベルを高めながら地域に根差した歯科医療を提供していきたいと考えています。 また、世の中にあることで、まだ試していないことはたくさんあります。WEBやSNSの世界も2〜3年のうちに状況も変わってくるでしょう。YouTubeしかり、facebookしかり、Instagramしかり。歯医者がかかわれることであれば、いろんなことにアンテナを張って行こうと思います。 ワード数が3千〜5千文字という記事を1本書くために、時には学会に問い合わせてマニュアルを読み込み、ある時は何冊もの本を購入し読了した上で執筆する。中には講習会に参加してまで書いた記事もあるという。そうやって築き上げてきた「歯のブログ」は、取り組み以上の大きな財産となっている。現在「歯医者が教える歯のブログ」に集積されているコンテンツ数は330本程度。求められている歯科情報は、市場の不安や悩みであるとともに治療ニーズでもある。記事制作には、内容をわかりやすく届けるための表現はもちろん、文字量や画像データのバランスなど様々なことが考え尽くされている。

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る